BookLetでは、ビジネス書や小説の1000文字程度のオリジナルレビューを掲載しています。

HELLO WORLD

HELLO WORLD

こちらで購入可能

要約

2027年、16歳の堅書直実は、高校入学を機に優柔不断な自分を変えようと奮闘するがなかなかうまくいかない。

そんな頃、直美の前に2037年からやって来たという10年後の直実が現れ、衝撃の事実を告げる。

・今の世界は京都域内全データをアーカイブしたシミュレーション世界である。

・今の直実はやがて一行瑠璃と付き合うことになる。

・瑠璃は花火大会での落雷事故で死ぬことになっている。

ということだった。

10年後の直実は、この世界の中だけでも瑠璃に幸せになってほしいと願うが、直接シミュレーション世界に干渉できない。彼は16歳の直実に瑠璃を守ってほしいと頼む。そのために「神の手」というシミュレーション世界に自由に物質を現出させる道具を渡し使い方のトレーニングをする。

そして16歳の直実は10年後の自分から渡された「最強マニュアル」を参考に、瑠璃との関係を深め、予定通り付き合い始めることとなる。

現実の歴史で瑠璃が事故死してしまうという日、直美は「神の手」を通して力を開放し、彼女を救うことに成功する。

感想・考察 – ネタバレあります

一読して不明点が残り、読み返して理解した。ポイントを整理しようと思う。

以下ネタバレあり。

①世界の構造

2027年の世界はシミュレーション世界で、瑠璃が失われた後に狐面たちがエラー修正に現れた。2037年の世界に瑠璃が重複したことで狐面たちが現れたということは、2037年の世界もシミュレーション世界世界だったということになる。

エピローグで語られた世界が現実で、2037年がシミュレーション世界、2027年はシミュレーション世界の中のシミュレーション世界という入れ子構造になっているのだろう。

②現実世界で起こったこと

2027年の花火大会で植物状態となったのは、瑠璃ではなく直美だった。逆にアルタラを通して過去のシミュレーション世界に干渉しようとしたのは瑠璃だった。

③瑠璃の計画

意識を失った直美を回復させるためには、その「器」に合う「中身」が必要だった。

2027年の事故時点の直実の精神であれば、その「器」には合うだろうが、そこに残された瑠璃から彼を奪うことになってしまう。これでは2037年の直実が2027年の直実に対して行ったのと同じことだ。

2037年時点では瑠璃は存在しておらず、直美自身も離脱することを受け入れている。この時点の「中身」を持ってくるのであればだれも不幸にならない。

そう考えたのだろう。

こちらで購入可能

コメント