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春期限定いちごタルト事件

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「古典部シリーズ」に近い雰囲気の日常系ミステリです。

タイトルからして甘ったるいラノベ風ですが、さすがは米澤穂信さん、甘いだけでは終わりません。

あらすじ・概要

小市民を目指す小佐内ゆきと、小鳩常悟朗。二人の高校入学から一年生の夏休みまでの話。

  • 羊の着ぐるみ

小鳩は友人の堂島から呼び出しを受け、ポシェットを盗まれた女子生徒を助け校内を探して回る。「出しゃばったマネをせず目立たない小市民に徹する」ことを誓った小鳩だが、推理を働かせてしまう。

  • For your eyes only

甘いものをこよなく愛する小佐内は「春季限定いちごタルト」を買った後、途中で寄ったコンビニで自転車ごといちごタルトを盗まれてしまう。

美術部の先輩がOBに託された絵の扱いに困って堂島に相談してきた。堂島は小鳩に助けを求めるが、本格的な油絵を描く人の絵にしては、セル画のようにのっぺりした同じような2枚の絵を見てもその真意は分からなかった。

小鳩は過去の学校新聞やOBの受賞時のインタビューなどを元に、絵の意味を推理したが、自分が前面に出ることを嫌い「小佐内が推理した」ということで真相を暴いた。

  • 美味しいココアの作り方

小鳩と小佐内は堂島の家に招かれココアをごちそうになる。「少量の牛乳でココアパウダーを練ってから溶かす作り方」をしたはずなのに、ココアを練った容器もスプーンも見つからない。3つのカップだけでどうやって3杯のココアを作ったのか。

  • はらふくるるわざ

中間試験の最中、小佐内の教室でビンが落ちて割れる事件があった。集中力を削がれた小佐内は答えを忘れてしまい、怒りを解消するため封印していたケーキバイキングに向かった。

小鳩は現場検証しビンの落下の真相に気づく。しかし「小市民を目指す」という誓いのため、小佐内も小鳩も言いたいことをかみ殺さざるを得ず、お互い無理のある笑顔を浮かべる。

  • 狐狼の心

小佐内と小鳩は 盗まれた小佐内の自転車を運転している男を見つけたが、追いかけると自転車は放置され、タイヤが自動車に惹かれ変形していた。

「春季限定いちごタルト」を盗まれ、自転車を壊された小佐内の怒りは「小市民の誓い」の臨界点を超えた。

感想・考察

「頭が切れるが出しゃばらない」小鳩常悟朗は「古典部シリーズ」の折木奉太郎に通じるものがあり、可愛らしく感じられる。一方「高校生と思えない小動物の様な外見で、人見知りで小鳩の背中に隠れ、甘いものが好き」という小佐内ゆきは、可愛らしい描写から始まり徐々に恐ろしさを垣間見せるのがホラーだ。

「さわやかな青春ミステリ」で終わらせたくはないようだ。

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