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風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake?

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人間って何だろう?

技術は命を作り出すのか?

あらすじ

Wシリーズの第3作。人間が人工細胞を入れることでほぼ無限の命を手に入れ、ウォーカロンという人造人間と人間との区別が曖昧になる世界で、ウォーカロンと人間を識別する仕組みを開発している ハギリ博士が主人公。ハギリのボディーガードであるウグイたちと探索を続ける。

「ナクチュ」という子供を産むことができる原生人類の住む町を再訪し、冷凍保存された遺体を調査する。また「ナクチュ」から近いウォーカロンメーカの敷地内に遺跡が発見され、巨大な女性の頭部を模したコンピュータが発見された。

また、その近くの集落ではタナカという日本人が、生殖可能なウォーカロンの実験をしていたメーカから逃げ出し、ウォーカロンとの間に子供をもうけていた。ハギリは、人間とウォーカロンを隔てているものが何かについて思いを巡らせる。

遺跡の意味や登場人物たちの意図など、謎が深まっていく。

感想・考察

SFの舞台装置を使いながら、人間とは何か、生命とは何かについて考察をしている。人間を人間たらしめているものは、「変異に対する危険性を許容する曖昧さ」だろうとしている。人は安定した合理的な判断をするだけではなく、時に非合理になる。思考がランダムに飛躍する。そういう部分が人を人たらしめているということだろう。

これは、S&Mシリーズのどこかで、「思考のランダムな飛躍が人間の本質」と語っていたことから連綿と続いている作者の見解なのだろう。

また、冷めたハギリとクール過ぎるウグイのやりとりは絶妙に面白く、観念的な説明の多いストーリーを楽しく読ませている。

今作ではいくつかの伏線が回収されたが、回収された数以上に新たな謎を仕掛けられたので、続編を読まざるを得ない。関連しているらしい「100年シリーズ」も読まざるを得ない。。

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