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外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術

外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術

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ビジネスパーソンのための本の読み方と役立て方。

要約

仕事に繋げる読書の原則

  • 成果を出すには「2種類の読書」が必要

ビジネスパーソンとしての基礎体力を作るための「ビジネス書の名著」と、ビジネスパーソンとしての個性を形成するための「リベラルアーツ=教養書」の2種類を読む必要がある。ビジネス書は狭く深く読み、教養書は広く浅く読む。

  • 本は「2割だけ」読めばいい

本を全部読み通すのは非効率。重要なのは全体の20%程度なので、最初の段階で「軽く斜め読みをして重要な個所を探す」のが大事。

  • 読書は投資

読書は書籍代と読む時間の投資。お金を払ったからといって、有益でない本を読むのに時間を費やすのは二重の無駄。サンクコストを切る考え方が必要。

  • 「忘れること」を前提に読む

読んだものは忘れるので「記憶に頼らない」ことが重要。必要な情報を外部に保存しておくことで詳細な記憶は必要なくなる。

  • 5冊読むより「1冊を5回」

 趣味の読書であれば多読でも良いが、知的生産のためには有効とは言えない。広い読書の目的は「読みがいのある本」を探すこと。「T字型の読書」を心がける。

  • 読書の「アイドルタイム」を極小化

 本を10冊以上同時進行させ、その時の気分に応じて読む本を絶え間なく読んで、何もしないアイドルタイムを最小化する。

ビジネス書 何を読むか、どう読むか

  • 「古典の解説書」は古典の代わりにならない

経営学を独学するなら古典・原典に当たるのが大事。エッセンスだけを拾った解説書では、著者が展開している思考のプロセスを皮膚感覚で学び取ることができない。

  • 新刊ビジネス書、ベストセラーは読まない

新刊ビジネス書に書いてあることの大部分は、古典的名著といわれるビジネス書の内容を業界や事例を変えて説明しているに過ぎない。古典的なビジネス書の名著をしっかりと読んでいれば新刊ビジネス書を読む必要はない。

また、ベストセラーを読むのも費用対効果が低い投資。読む人が多いので短期的には差別化要因とならず、長期的に見ても陳腐化するのが速い内容が多い。

  • 読書ノートは作らない

ビジネス書では抜粋や読書ノートは必要ないと考える。ビジネス書はインプットをすぐにアウトプットに繋げるべきで、寝かしておく必要はない。また良書のメッセージはシンプルで忘れにくい。

教養書 何を読むか、どう読む

  • 仕事に難問に効く教養書

「仕事環境の変化」による問題はビジネス書で得られる知識よりも、教養書が示唆を与えてくれることが多い。知性の幅が違いを生む。

  • 7つのカテゴリー

ビジネスパーソンに有益なリベラルアーツとして以下の7カテゴリを挙げる。

①哲学(近・現代思想)

②歴史(世界史・日本史)

③心理学(認知・社会・教育)

④医学・生理学・脳科学

⑤工学(コンピュータサイエンスを含む)

⑥生物学

⑦文化人類学

  • 他人と違うインプットによる差別化

 他人と違う成果を出そうと思うなら、いかに他人と違うインプットをするかが重要。自分が面白いと思える本を読むのがいい。

  • 教養書は「短期目線」で

 ビジネス書の場合は長期的なキャリアプランから読む本を決めてもよいが、教養書は「今、役に立つ」「面白い」という基準で選べばいい。長期的な目標に一意専心となるのはリスクでもある。

  • 自分をプロデュース

自分をプロデュースするには「掛け算」を作るということ。 幅広い知識よりではなく、得意な分野を複数持つことで自分をブランディングすることができる。

  • 読みっぱなしでは仕事に繋がらない

読んだ内容は遅かれ早かれすべて忘れる。忘れないようにするのではなく、忘れても大丈夫な仕組みを作ることが大事。インプットをアウトプットに繋げることが成果。

  • 「抽象化」できなければただの物知り

 教養書を成果につなげるためには「抽象化」が不可欠。細かい要素を捨てて本質を抜き出す。知識だけの「物知り」では仕事に役立てられない。

  • 忘れても良い「仕組み」を作る

情報を仕入れてから料理するまでに時間がかかるなら、冷蔵庫(頭)に保存するのではなく、イケスに生きたまま泳がせておくのがいい。

本をノートだと思ってどんどん書き込み、 最終的にはEvernoteなど検索性の高いデジタルデータとして保存するのが良い。

書店と本棚の使い方

  • 「知らない棚」を見る

本屋ではビジネス書以外の棚を見て回ることで、意外な示唆を与えてくれる本に出会えることがある。特に自然科学は宝の山。 

  • 読了本と未読本は混ぜない

「本を選ぶ」時間を最小化するため、読み終わった本と未読本は分けて置く。読みかけの本を積むのは「積ん読タワー」という製品がお勧め。

  • 隙間が運命の一冊を引き寄せる

読み終わり再読することがないと思う本や、興味の変化などで読まなくなった本は処分する。本棚に空きがあると新しい本を入れる気分になる。

感想・考察

私は楽しむための娯楽として本を読むことが多く、物語や文章そのものを味わいたいので、本書が勧めているような「斜め読みで2割拾えればいい」というよな読み方は合わないと感じていた。

だが、娯楽や教養のための読書と、直接的な情報を求めるビジネス書の読書では、読み方を変えるべきという本書の示唆はその通りだと感じた。小説が好きで文章を味わうのが好きだから、ビジネス書もそういう読み方をしていたが、目的を考えれば非効率であることは確かだ。

また本書には、本に書き込みをしたり、書店の棚を探したり、本棚の整理方法で新たな気づきをもたらしたりと、紙の書籍を前提としている内容が多い。電子書籍では、パラパラめくって内容を斜め読みするなどのランダムアクセスは、どうしてもうまくできない。

紙の本が入手しにくい環境にある人もいるので、電子書籍に特化した読書術も研究していきたいと思う。

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