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〈屍人荘の殺人〉エピソード0 明智恭介 最初でも最後でもない事件

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『屍人荘の殺人』の前日譚。名探偵 明智の魅力全開!

要約 

神紅大学に新入生の葉村は、名探偵明智が率いるミステリ愛好会に入会していた。

「コスプレ研究部」のある古い部室棟に侵入した泥棒が逮捕された。その泥棒は他の侵入者に襲われ意識を失っていたと言う。

泥棒の証言の真偽は分からないが、他にも侵入者がいるとなると問題になるため、コスプレ研究部の副部長である宇佐木が、明智たちに調査を依頼してきた。

部室から盗られたものはなく、泥棒の証言が真実だとすると、侵入者の目的が分からない。だが守衛の目撃証言や拭き取られたドアノブなどから、もう一人の侵入者がいたことは間違いないように思われた。

コスプレ研究部の撮影会で潜入調査をした明智たちは「その場に来ていない人」がいることを宇佐木から聞きその人を探す。そして「犯人」を自称する人からの手紙で真相は明らかになったかのようにみえた。

それでも明智は最後まで手を緩めることなく、疑える部分をすべて疑って真実を追求しようとしていた。

感想・考察

屍人荘の殺人」はクローズドサークルの作り方が斬新なのが印象に残ったが、「名探偵」の扱いにも衝撃を受けた。本作はその名探偵の話だ。

「屍人荘の殺人」では、凄いんだか凄くないのかよく分からないまま退場してしまった明智だが、本作をやっぱり凄いのかどうかよく分からない。それでも、明智は探偵としての有能さは置いておいて、生身の人間として格好良く魅力的だ。しばし暴走しながらも自分を客観的に見ようと努力する姿勢がある。

謎解きの対象となる事件自体は、それほど話が長くないこともあり小粒だが、きれいに伏線が張られ、ちゃんとした「本格推理」になっている。

最近では「本格推理」であっても、あまりシリアスにならず軽いノリのものが増えているような気がする。ミステリ自体が特殊なファンタジーなので中途半端にリアリティを追求するよりは、虚構の世界のお約束に振り切ってしまうのがいいのかもしれない。

ちなみに本作では、美少女探偵 剣崎は登場しない。残念。。

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