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リーダーたちのユーモア

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同時通訳者が見た、世界のリーダーたちのユーモア!

要約 

J.F.ケネディ、レーガン、ブッシュらの米大統領たちや、ドラッガー、キッシンジャーなどの著名人の同時通訳を手掛けた著者が「リーダーたる人たちがユーモアをどのように活かしてきたのか」を語る。また通訳者としての技や、翻訳で注意すべきポイントも挙げている。

面白いものをいくつかピックアップしたい。

キッシンジャー国務長官は「どのようにお呼びすれば良いか」という問いかけに、”I don’t stand on protocol, Excellency will be OK”(儀礼は気にしないでいい、閣下でいいよ)と答えた。

大平総理大臣の会談の例を挙げ、ことわざを訳す場合「虎穴に入らずんば虎子を得ず」を意訳して”Nothing Ventured, Nothing gained” とするより、直訳で”If you want to catch a baby tiger, first, you must enter tiger’s cave” とする方が味が出る。相手を聞く態度にさせることができる、という。

レーガン大統領は、銃撃を受け運ばれた病院で可愛い看護師に囲まれ”Does Nancy know this?”(奥さんのNancyはこのことを知っているの?”)と笑わせ、周囲を安心させた。

“In Parallel” を日本語に直訳して「平行線」とすると、交渉が終わらない意味だが、英語では「同じベクトルを向いている」という意味。

PC(Political Correctness)への留意が必要。性差別や人種差別に気を付ける。

感想・考察

1999年に出版された本だが、内容的には著者が国際舞台で活躍された60年代〜80年代の話が中心。今日と比較して日本の世界における位置づけの変化が見えるのも面白い。

例として挙げられる人たちはそうそうたる顔ぶれで、彼らは苛烈を極める交渉の舞台でこそ、ユーモアで余裕を示そうとしていることが分かる。

相手を貶めるユーモアよりも、自分を落とす自虐系ジョークの方が敵対心を和らげるということもありそうだ。一方で「お互いを貶めてじゃれ合う”Bantering”」ができるような相手が、日本にもあるべきだという。

自分が立場的に上だと思えば自分を落として相手をひきつけ、対等になりたければお互いを貶めながら懐に入っていく。一流のリーダーにはそういう技術に長けている人が多いのだろう。

また、20年以上昔の本にしてはPC(Political Correctness)についての見解が進歩的で驚く。

ヨーロッパに住んでいても、履歴書に写真・性別・年齢を記載しなくなったのは最近だと思われる。中国にいるときは素晴らしいフォトショ修正の履歴書が見られた。人種や年齢、性別、外見での差別は当時から問題視されていたのだろうが、実際の動きとして考慮されてきたのは最近なのだとうと感じていた。だがトップリーダー層では30~40年前から動きがあったようだ。面白い話をしようと思うと「PC的にアウト」になりがちだが、上手くかわしている。

ちょっと自虐ギャグの練習してくる。

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