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地頭力を鍛える

地頭力を鍛える

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すべての情報が完全にそろうことなどない。

限られた条件の中で最適解に近づくための考え方。

要約

フェルミ推定という限られた情報から、仮説を立て推論していく手法を元に「地頭」を鍛えていこうという内容。

「頭の良さ」には3種類あり、①知識の多さ、②対人関係力の高さ、③考える力の強さ(地頭力)、がそれぞれに不可欠であるが、従来強みを発揮してきた ①、②の組み合わせ以上に、③と②の組み合わせが重要視されている。コンピュータ・インターネットの急速な発展で単に知っていることの意味が薄れてきたことが原因。

地頭の良さは、知的好奇心がベースになり、論理的思考力と直感力がその上に乗る。さらに仮説思考力、フレムワーク思考力、抽象化能力が必要とされる。

仮説、フレームワーク、抽象化 はそれぞれ、「結論から」、「全体から」、「単純に」考えることに対応して行く。

例題としてあげられた「日本に電信柱は何本あるか」という問題であれば、

「結論」に近づくために仮説を立てる。「人口一人当たりの電柱の数を敷衍する」とか「単位面積あたりの電柱の数を分解して行く」などの仮説を作る。そして自分の周りの電信柱の本数を数えるところから始めるのではなく、日本「全体」を捉えようとするところから逆算して考える。たとえば日本の人口は1.3億人で、世帯数で言えば平均的な世帯は四人ぐらいかなとか、徐々に細かく下ろして行く。そして高圧電線の鉄塔は電信柱にカウントするかとか、細かい定義などは飛ばし、大凡の結論を得るために「電信柱」を大雑把に抽象的に捉える。例えば日本の面積からのアプローチを取るにしても、日本の詳細の面積を求めるのではなく、抽象化したモデルで考える。

そういう、「結論から(仮説)」、「全体から(フレームワーク)」、「単純に(抽象化)」考える練習をすることで、地頭力は鍛えられると結論している。

感想・考察

少し前に読んだ、「思考の整理学」とも重なる部分が多いと感じた。(実際に引用もされていた)。知っていることで満足していては知識を有効に使うことも難しい。まずは大雑把であってもその時点で出せる仮の結論をもって進めることが大事だというのは共感できる。

少し本筋から外れていたが、面白いと感じたのは、「流れ星に3回願い事を唱えるとかなう」のは真実だというくだり。常に「仮説」をたて、求めることを「単純に」心の中に抱き続けていなければ、流れ星が現れる1秒以下の時間で3回も願いを唱えることはできない。それだけ強く心に抱いていれば、大体のことは叶うという。

考える力のトレーニングには確実に効果があるだろう。

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