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追憶の夜想曲(ノクターン)

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緊迫感溢れる法定サスペンス!

正義とは何か・・

あらすじ

御子柴礼司は少年時代に幼女を殺し少年院に入った経歴を持ちながら、名前を変え司法試験に合格し弁護士となって活躍していた。

主婦による夫殺し事件の二審弁護を担当弁護士から奪い取り、減刑を狙う。

夫はカッターで首を切られ死んでおり、妻の亜季子が血を風呂場で洗っているところを義父に見つかり、そのまま警察に通報されている。亜季子本人も起訴事実を認めており、二審では量刑判断だけの裁判になると思われていた。

亜季子は明かしていない秘密があると感じた御子柴は、過去にさかのぼり彼女の経歴を探っていく。

亜季子が隠し守ろうとしているものは何なのか。

御子柴が「メリットのない」弁護に敢えて行うのは何が理由なのか。

感想・考察

幼女殺人という全く同情の余地のない犯罪を犯した男が主人公だ。「贖罪」であるにしても彼が弁護士として人の罪を裁くことに関わっていくのは認められない人が多いのではないかと思う。

敢えて受け入れがたい設定をぶち込むことで「日本の刑事裁判が厳罰化の傾向にあること」や「裁判員裁判の導入により感情的な判決が増加していること」などで、「罪を許さない社会になっている」ことを見せたいのかもしれない。

裁判に関わる話だけではなく、ネットなどを見ていても社会全体として「悪いヤツは許さない」という趨勢にあるのを感じる。

特に本作主人公のように罪のない少女を殺した凶悪な犯罪者であれば「更生とか意味がない、二度と世の中に出てくるな!」と私自身も考える。

それでも、敢えて、そういう人間を主人公とし「贖罪」に向かう姿勢を見せ「犯罪を犯した者に対し不寛容であることが、世の中をよくするための最適解なのか」という疑問を投げかけている。

御子柴の贖罪は不器用で、依頼人の願いとは違う解決で人を傷つけてもいるが、最終的には、守るべき人を守り、裁くべき人を裁く結果になっている。

法廷サスペンスとして弁護士と検事のやり取りの面白さや、ミステリとしての伏線配置の巧みさなど、ストーリー展開のうまさで一気に読まされるが、テーマは重く心に残る。

本作に至るまでの経緯が気になるので、シリーズ1作目「贖罪の奏鳴曲」を読んでみることにしよう。

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