BookLetでは、ビジネス書や小説の1000文字程度のオリジナルレビューを掲載しています。

最後の医者は桜を見上げて君を想う

こちらで購入可能

生死を見つめる3人の医師

泣かされます。。

あらすじ

 「どれだけ生きるかより、どう生きるかが大事」だと考える医師 桐子は、「死神」と呼ばれながらも、患者に延命以外の選択もあることを示し、尊厳ある選択機会を与える。副院長の福原は「医者は全力を尽くし患者を1秒でも長く生かし奇跡を待つ」べきだと考え、限界を超えたバイタリティーで治療に取り組む。二人と大学の同期であった音山も医師として患者の生死に立ち会うが、命の尊厳への感度が徐々に曇っていくことを実感していた。

 

 第一章 とある会社員の死

  妻が妊娠し出産を控えている会社員の浜山が急性の白血病で入院する。抗がん剤での治療に苦しむが、予後不良のため造血幹細胞移植手術を行うか選択を迫られる。手術の成功率は70%、再発した場合の抗がん剤治療の成功率は40%、確率で語られるが、自分にとっては統計は意味がなく自分の命が残るかどうか0か100の選択だった。浜山は桐子の面談を受け決意をする。

 

 第二章 とある大学生の死

 医者の両親を持つまりえは苦労の末医学部に合格する。大学生活を楽しみ医者として活躍する未来を夢見るまりえだが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に罹患していることが判明する。主治医となった音山は、福原や桐子のように明確な判断ができず、まりえと一緒に悩み苦しみ続ける。

 

 第三章 とある医者の死

 病院の実権を握り、理想とする医療体制を整えたい福原にとって、周囲と協調せずに、延命治療を否定する桐子の考えを受け入れられず、彼を排除しようとしていた。音山は、桐子と福原の双方に強みがあるが、いつかどこかで燃え尽きると考え、三人で協力できる体制づくりを提案する。

 

感想・考察

 「一年でも長く生きていれば、新たな治療法が発見されるかもしれないし、奇跡的な回復が起こるかもしれない」と考える福原、「生かされている状態に尊厳はない、残り短い時間であればこそ、患者自身が命の主導権を持つべき」と考える桐子の衝突が描かれている。どちらも社会不適合レベルの強烈な個性を持っているが、二人と同期の音山が、患者の思いを受け止めることの意味を知り、二人の間を取り持っていく。

 健康に生きている自分は、自分の目の前に死が突きつけられた時がくることには、敢えて目を向けないようにしている。そうでなければ日々が無意味に見えてしまう。

 でもこの作品では「死」を通じて「生きる」ことの意味が見える。明日死ぬとしたら今日をどのように生きたいだろうか。

こちらで購入可能

コメント

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。また、* が付いている欄は必須項目となります。