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ダリの繭

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奇妙な舞台設定で個性豊かな登場人物たちが、愛憎、金銭を巡り繰り広げる、殺人劇。

でも有栖川さんのエピソードが一番悲惨ですね。。

あらすじ

推理小説作家の有栖川有栖と 犯罪学者の火村英生が、不可解な殺人事件の真相を探る。

ジュエリー堂条の社長 堂条秀一は、強引ながらも優れた手腕で事業を拡大してきた。ダリに心酔し口ひげを生やした姿がアイコンとして広く知られてもいた。

とある月曜日、夕方になっても出社しない秀一の様子を見に、弟である専務の 堂条秀二、営業部長の湯川元雄、秘書の鷺尾優子の3人で、別宅に向かったところ「フローティングカプセル」 の中で殺されているのが発見された。トレードマークの口ひげが無く、服や靴もない、ちぐはぐな状況での発見だった。

また、ジュエリー堂条を担当していた吉住訓夫は秀一の腹違いの弟で、秀一の死により遺産を受け取ることから容疑者の一人であった。

さらに堂条社長は、秘書の鷺尾優子を巡り、。ジュエリー堂条の若手デザイナーである長池伸介と三角関係にあったことも判明する。

犯行があった日の翌日、有栖川は吉住と一緒にいたことから事情聴取を受け、犯罪学者の火村と一緒に捜査に関わる。二人は剛腕で知られた堂条社長の深い孤独を知ることになる。

感想・考察

厳しい態度で会社を引っ張り成長させてきた社長が、プライベートでは友達も作らず、繭にこもって、自分を受け入れてくれる相手を探していた。

何だか切なくなる話なのだが、「初恋の相手にラブレターを渡したら自殺未遂された」という有栖川のエピソードの方が可哀そう過ぎて泣けた。。

終盤ギリギリまで風呂敷を広げる展開でどうなるかと思ったが、最後にはきれいにまとめてきた。長い話なのだが構成が巧みで引き込まれてしまう。

ミステリの王道的な楽しさを味わえる作品だった。

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