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ABC殺人事件

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様々なミステリ類型の創始者であり、抜群のストーリーテラー!!

アガサ・クリスティーの代表作。

あらすじ – ネタバレあり

エルキュール・ポワロの元に「ABC」と名乗るものから挑戦状が届く。

挑戦状にある通り、第1の殺人はAで始まる「アンドーヴァー」の地で、Aで始まる名前の老女「アリス・アッシャー」が殺された。

アリスはタバコ屋のカウンターで何者かに撲殺され、そばに「ABC時刻表」が置かれていた。アリスの夫が彼女と険悪であったことから疑いを受けたが、ポワロの元に届いた挑戦状の存在から彼の犯行と断定できずにいた。アリスの姪 メアリ・ドラウアーは悲しみにくれる。

その後、第2の挑戦状が届き、Bで始まる「べクスヒル」で、Bで始まる「エリザベス(ベティ)・バーナード」が被害者となる第2の殺人事件が起きた。

ベティは海辺で首を締められ死んでおり、その横にも「ABC時刻表」が置かれていた。カフェ店員であったベティは浮気がちで、姉のミーガンにたしなめられていた。そのせいで恋人のドナルド・フレイザーと仲違いしており、彼が疑いを受けたが、ここでも挑戦状の存在が彼の容疑を薄める。

第3の挑戦状は住所の書き間違いで、犯行当日にポワロの元に届いた。Cで始まる「チャーストン」で、Cで始まる「カーマイケル・クラーク」が殺される第3の殺人事件がまた起きてしまう。

カーマイケルは毎日の散歩道で殴られ死んでいた。そのそばにはまた「ABC時刻表」が落ちていた。美しい海岸のあるチャーストンには観光客が多く、カーマイケルの弟フランクリン、秘書のソーラ・グレイも、怪しい人間がいたとしても分からないという。

4通めの挑戦状は、Dで始まる「ドンカスター」での犯行を予告していた。犯人を目撃していた可能性のある 第1〜第3の事件の関係者もドンカスターに集まったが、映画館で殺人が行われてしまう。だが今回の被害者は Dで始まらない「ジョージ・アースフィールド」だった。映画館で隣の席にいた「ダウンズ」と間違われたものと思われた。

近隣のホテルからの通報で、袖に血をつけナイフを持っていた「アレグサンダー・ボナバード・カスト(A・B・C)」に手配がかかる。カストの部屋からは被害者周辺で売られていたストッキングや、ポワロに届いた挑戦状に使われたタイプライター、何冊ものABC時刻表などがあり、彼の犯行であることは確実だと思われた。

最初の犯行が行われたアンドーヴァーの警察署にカストが現れ犯行を認めるが、ポワロへの挑戦状は書いていないという。

ポワロは「カストには動機がない」として、事件を再解釈しようとする。

感想・考察 

「さすが!!」としか言いようのないプロットの巧みさだ。

今となっては「被害者を関連づける情報で犯行の真意を隠す」展開は定番だが、そういった類型を作った作品として当時は斬新だったのだろう。

そして、その複雑なプロットをスピード感ある展開で一気に引っ張っていくストーリーの上手さは凄まじい。緊張感を保つ一方で、ポワロとヘイスティングスの掛け合いの軽妙さで物語を陰鬱にさせないようにしているのも、今日のミステリ的だ。

まあ「ハゲいじり」は止めていただきたいと思うが。。

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