山桃寺まえみち
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あらすじ
女子大生のミラは、祖母が経営している居酒屋「福乃」を畳むつもりだと聞き、1年間大学を休学して店を預かり切り盛りすることに決める。
ミラの実父は、まだミラが幼いころ愛人を作って家を出てしまった。
母親は神経を病んだが、病院で会った真面目な公務員と再婚した。
成長したミラを意識してしまう義父の様子に母が苛立つのを感じていたこともあり、ミラは家を出て「福乃」の近くで一人暮らしを始める。
「福乃」には賑やかなメンツが集まる。
酒屋の息子だが下戸のムツローは慣れないミラを助け、女子大の友人由美子はDV彼氏のマサルと痴話げんかをし、常連の友江は不倫相手の内海と下世話な話を繰り返し、友江に惚れるサラリーマンの樽木は書いた童話を見せ、女子大の教員だった財井はミラにラブレターを送る。
友江のパトロンの会社社長が、何故かミラを気にして、毎週のようにフルーツ盛りを差し入れてくれるが、店には頑なに訪れようとしない。
しばらくして祖母は入院し、体調は徐々に悪化していく。
【感想・考察】
生きる目的をなくしたと嘆く友人に向けたセリフが大好きだ。
「人生を語るときに、目的なんてけちくさい言葉を使うのが間違ってんですよ。
そんなものがなけりゃ生きられないなんてのは、全く横着で傲慢なんじゃないですか」
目的のために生きるというのが傲慢だという感じ方に、ものすごく共感する。
生きることそれ自体を楽しめばいい。
Life is not a problem to be solved, but a reality to be experienced.
1993年とバブルの香りが残る時期、何となく浮かれたような雰囲気の中で地に足の着いた生き方が格好良いと感じる。
続編があるようなので、そちらも読んでみよう。