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君と時計と塔の雨 第二幕

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傷つくことも、傷つけられることも上手に避けて。
一番大切な言葉だけ口にできないまま、こうして大人になっていく。

あらすじ - ネタバレあり

「君と時計と嘘の塔」に続くシリーズ第2幕。

前作までで、10月10日の学園祭当日に「杵上綜士が織原芹愛の死を知る」もしくは「鈴鹿雛美が古将成の死を知る」ことによる「絶望」がタイムリープを引き起こすことがわかっていた。リープした人にとって大切な人が一人いなくなった状態で、もう一度やり直すことになる。

第1幕の最期で、織原芹愛の自殺を止められなかった綜士は再びタイムリープし、今回は母親の存在が消えてしまった。

高校の先輩である 草薙千歳 と、もう一人のタイムリーパー 鈴鹿雛美と協力し、今度こそは誰も死なないための作戦を実行する。

雛美はバンドのチケットを渡し、古賀が事故当日に現場となった学校に来ないよう対策を練った。また前回芹愛が自殺した時間に彼女を部室に閉じ込め、彼女の死も防いだ。

ところが、タイムリープの契機となる二人の死を防ぎ安心した直後に、また時間が巻き戻ってしまう。

雛美、綜士は 自分たち以外にもう一人のタイムリーパーがいることに気づく。もう一人のタイムリーパーを探し出し、その絶望の理由を知らない限り、二人だけがタイムリープを回避しても意味がない。だが、もう一人のタイムリーパーが分からないまま、事件の起きる学園祭当日を迎える。

雛美は前回と同じ対策で古賀の死を回避することに成功した。

綜士も芹愛を自殺する駅から引き離すことに成功したが、逆に芹愛から時計塔に呼び出される。

感想・考察

SFとしての設定は割とガバガバだけど、タイムリープを絡めたミステリというのはやっぱり面白い。

何度も時間を巻き戻すと因果関係が複雑になるが、登場人物が少なく人間関係がシンプルなうえに、説明役の千歳がいることで、とても分かりやすい。

前作の「君と時計と嘘の塔」で張られた伏線はまだ回収されないが、雛美の嘘、芹愛の嘘が少しずつ見え始めてくる。

だれもが嘘をつく。自分を守るため、時に誰かを守るため。

嘘をつく自分の弱さを見るのは辛い。でもそこから逃げずに直視することで、相手の弱さを理解できるようになる。

そんな少年少女たちの成長の物語だ。

面白い。

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