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リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす

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人間が思いつける製品なら間違いなく作れる時代。
問うべきは「作れるか」ではなく「作るべきか」である。

要約

ハーバード・ビジネス・スクールで教鞭をとり、自らもいくつかの起業を立ち上げた著者が、リーンな (贅肉のない) スタートアップを提唱する。

スタートアップの目標は、顧客が欲しがり、お金を払ってくれるものを探すことにある。

開発者がいいと思うモノを完成させてから世に出すのではなく、「実用最小限の製品を投入し、ユーザーの反応を見ながら方針を決めていく」ことを推奨している。

顧客が求めるものを学習することで、無駄なく最速で提供できるようになる。

著者が「3Dアバターチャットサービス」を立ち上げた経験を語る。

開発者は Skypeなどの既存サービスとの接続が必須だと考え時間をかけたが、結果は芳しくなかった。顧客に話を聞き「新しいメッセンジャーサービスを使うときは新しい人間関係を求めていて、既存サービスとの接続は重視しない」ことを知り、方針転換する。

最初に開発者の思い込みで仕様を決めてしまったことで、無駄が生じていた。

こうした手法を有効に回すためには、要となる「仮説」を定め、「実用最小限の製品」を使い「構築-計測-学習」のループを回していくことが必要だとする。

例えば「ある施策を施すユーザ群と施さないユーザ群の比較を行う」などのためにも「実用最小限の製品」を投入することが必要となる。

このように計測を行っていくと「方向転換をすべき時」が見えてくる。

一部の機能に集中する、顧客セグメントを見直す、顧客ニーズを見直す、アプリケーションからプラットフォームに戦場を移す、成長エンジンを見直す、などの方向転換の必要性を見極めることが大事だ。

また、トヨタ生産方式を参考に「バッチサイズ縮小」を提言している。

例えば「100枚の広告レターの封書入れ」の作業であれば、レターの折り込み、封筒へ入れる、あて名を書く、などを工程ごとに完了させる方が早いと考えがちだが、一つづつ仕上げた方が速いケースが多い。

作業が完全に標準化されるまでは、全工程を経験した上で、個別工程を細かく改善することが有効だからだ。

成長の原動力となるエンジンについても分析している。

囲い込みなどで離反率低下を重視する「粘着型」、SNSなど相手が使うから使わざるを得ないような「ウイルス型」、広告宣伝で拡大する「支出型」の3つに区分して考えている。

これらのエンジンを複合するより、一つに集中し個別検証を重ねることが大事だとしている。

感想・考察

タイトルには「スタートアップ」とあるが、大きな組織内でも革新的な事業を立ち上げるような「起業家」すべてに向けている。いや起業家でなくても、幅広く応用できる考え方だろう。

ざっくりいうと「すべて計画通りにはいかない。ちょっと作って試しながら進む方向を決めていこう」という話だ。

完璧に計画してから行動しようとしても、その先にあるモノが本当に求めているモノなのか分からない。まずは手を動かすことで「何ができるのか、何がしたいのか」が見えてくる。それはその通りだと思う。

個人レベルであれば取り組みやすいが、組織に導入するには、それに適したマネジメントが必要になる。そこが本書のポイントだ。

一読する価値はあると思う。

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