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世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた

切り捨て方が抜群の要約!ビジネスパーソン必読書です「世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた」

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要約

世界のビジネスマンが読んでいるという50冊の必読書の要約書。それぞれ数ページから十数ページに凝縮して紹介。

特に興味を持った部分を拾ってみる。

 

「競争の戦略」 M・E・ポーター

・競合だけを相手にするのではなく「売り手」「買い手」「新規参入者」「代替品」とも戦う必要がある。

・戦い方は3種類。規模の経済で価格優位に立つ「コストリーダーシップ戦略」、特定ニーズに応え付加価値を付けていく「差別化戦略」、市場を限定しそこでベストを目指す「集中戦略」

 

「競争戦略論」 M・E・ポーター

・まず「何をやらないか」を決める。すべてをやろうとするから先行者との差を打ち出せない。大手コンビニとの全面戦争をさけ、北海道に限定することでメリットを出したセイコーマートの例を紹介。

 

「戦略サファリ」ヘンリー・ミンツバーグ

・深く考えられた「計画された戦略」と、行動を重ね現場での学びを積み重ねた「創発戦略」の双方が大事。

 

「競争優位の終焉」リタ・マグレイス

・変化の激しい時代、競争優位は持続できない。「一時的な競争優位性を何度も獲得し続けること」が必要。

・そのために6つのポイントを挙げる。「安定性と俊敏性の両立」「衰退の前兆をつかむ」「資源配分を柔軟に見直す」「イノベーションに習熟する」「考え方を変える」「個人の能力、ネットワークも考える」

 

「良い戦略、悪い戦略」リチャード・P・ルメルト

 ・良い戦略には「問題の見極め」「シンプルな解決策」「具体的な行動」という核がある。良い戦略には必ず明確な行動の指針が含まれる。

 

「ゲーム理論で勝つ経営」A・ブランデンバーガー

・ライバルと戦い勝つのだけが「勝利」ではない。価値を作り出すときは相手と協調し、価値を分配するときには競争する。

・ゲームは「プレイヤー」「付加価値」「ルール」「戦術」「範囲」の5要素で構成される。まずはゲームのルールを知らなければ戦いにならない。

 

「コア・コンピタンス経営」ゲイリー・ハメル/ C・K・ブラハード

・「自分の中核的な強み」と「顧客利益」を組み合わせることで強い商品を生み出せる。自分の強みを見失ってはいけない。顧客の求めるものが変わったときも、自分の強みをどのように活かすことができるかを考えるべき。

 

「企業戦略論」ジェイ・B・バーニー

・会社の強みは経営資源で決まる。「価値」「希少性」「真似されにくさ」「組織」の4要素が揃うと強みになる。

 

「ダイナミック・ケイパビリティ理論」デビッド・J・ティース

・新しい強みをゼロから作る必要はない。世の中の変化に気づき、自分の強みをそれに合わせて組みかえていくことが必要。

 

「顧客ロイヤルティのマネジメント」フレデリック・F・ライクヘルド

・新規顧客開拓も重要だが、既存顧客を維持することも必要。

・顧客のロイヤリティが高くなると「客単価アップによる効率化」「口コミでの新規顧客獲得」など、好影響をもたらす。

 

「キャズム」ジェフリー・ムーア

・新しいモノを好む「イノベーター」「アリー・アダプター」層は全体の16%程度。そこから「アーリー・マジョリティ」「レイト・マジョリティー」「ラガードに広げていくのが難しい。

・「アーリー・マジョリティ」に広げるためには、面倒くささがないように「サービスを丸ごと提供する」ことや、「他のアーリー・マジョリティが導入している事例の紹介」が有効。

 

「イノベーションのジレンマ」クレイトン・クリステンセン

・段階的に改善していく「持続的技術」と、製品性能は下がってもそれまでにない顧客に使われる「破壊的技術」の2種類がある。先行者が既存製品を「持続的技術」で改善していっても「破壊的技術」の影響は免れることができない。

デジカメメーカが画質などを改善していくのは「持続的技術」で、スマホメーカがカメラと通信を組み合わせ新しい使い方を提案するのは「破壊的術」

 

「イノベーションへの解」クレイトン・クリステンセン

・「破壊的技術」は、従来は顧客ではかったが、違う形で潜在的需要のある層を狙う。トランジスタラジオは真空管ラジオを買うことができない若者層に入り込み、やがて継続的な改善で真空管ラジオの音質を超え、市場を塗り替えていった。 

 

「アントレプレナーの教科書」スティーブン・G・ブランク

・成功する製品は顧客が価値を理解して買う。製品コンセプトを考えてから製品開発に向かうのではなく、顧客の求める価値を発見し、顧客からのフィードバックを得ながら行う「顧客開発モデル」で、ターゲットを絞り込んだ製品開発ができる。

 

「リーン・スタートアップ」エリック・リース

・最小限の機能を持った製品をできるだけ早く作り、顧客からフィードバックを得ながら改善し続けることが大切だとする。

・素早い判断でサンクコストを最小にしながら、地道に改善を重ねることも重要。方針転換(ピボット) を判断し行うことが必要。

 

「アダプト思考」ティム・ハーフォード

 ・トライアンドエラーで新しいことに挑戦し続けることで、環境に適合したものが生き残るという、進化論的な考え方。

・3つのステップとして「新しいことを試す」「失敗が致命的にならないようにする」「失敗を失敗と認め対策をとる」ことを挙げる。

 

「Zero to One」ピーター・ティール

・1をNにするのではなく、ゼロから1を生み出すから高収益事業を生み出せるという。

・ゼロから1を生み出すには、最初に偉大な意思が必要だと考える。上記の「アダプト思考」のような進化論的解釈ではなく、何者かにデザインされたというインテリジェントデザインの立場に近い。

 

「ブルー・オーシャン戦略」W・チャン・キム/ レネ・モボルニュ

・業界の状況を分析し、取り除くことができる要因、新たに作り出すべきモノを考え、現在の競争から離れたところで事業を立ち上げる。

理容店のQBハウスが、予約システムやシャンプーなどのサービスを取り除き、速さという価値に特化した例を挙げる。

 

「ブランド優位の戦略」デービッド・A・アーカー

 ・どう見られたいかを考え「ブランド・アイデンティティ」を確立させる。機能、情緒など、どの部分で遡及していくのかを考える。また、ブランド浸透には首尾一貫した蓄積が重要。

 

「フリー」クリス・アンダーソン

・変動費が少なく限界費用がゼロに近づくデジタル製品であれば、無料で配ってもロスが少ない。

・フリー製品から利益を生むには、無料の携帯端末と通信料など無料版と別の有料版で稼ぐ「内部相互補助」、Google検索など広告で稼ぐ「三者間市場」、DropBoxの追加容量など高度な機能に追加料金を払う「フリーミアム」、Wikipediaなど貨幣以外の価値を与える「非貨幣市場」などがある。

 

「ビジョナリー・カンパニー」ジム・コリンズ

・長期に渡って成果を残し続ける起業は、経営理念を貫き通している。経営理念の内容自体ではなく「それを徹底して貫いている」という部分が優良企業で共通している。

 

「ティール組織」フレデリック・ラルー

・人間組織は、力で支配する「狼の群れ型」→階級で支配する「軍隊型」→実力主義と目標管理で支配する「機械型」と進化してきた。今後は、共通の目的に元に集まる人が自律的に働く「進化型(ティール型)組織」へと進むと考える。

・ティール組織の木庭は「顧客の要求にこたえること」で、リーダーはなく小規模の集団で全てを決める。情報は公開し、助言プロセスを経て意思決定をする。

 

「企業文化 生き残りの指針」エドガー・H・シャイン

・低迷する企業を変革するとき「企業文化を変えよう」とするのは難しい。企業文化は「過去の成功」から結果的に生まれたもので、意図的に作っても実情に噛み合うとは限らない。

 

「GIVE&TAKE」アダム・グラント

 ・人より多く取ろうとする「テイカー」、冷静に損得を考える「マッチャー」、相手に多めに与える「ギバー」に分けると、最も損をするのも、成功するのも「ギバー」だった。

・自分の利益にも他者の利益にも関心を持ち、全体のために「まずはパイを大きくする」という考えをもつ「ギバー」が成功に近い。

 

「予想通りに不合理」ダン・アリエリー

・人間の行動は経済学が想定するほど合理的ではない。 最初に提示最多価格によるアンカリングで値段の印象を変えたり、自分がもっているモノの価値を過大評価する「保有効果」など、合理的な判断ではないバイアスがかかっている。

 

「影響力の武器」ロバート・B・チャルディーニ

・脳の処理能力を節約するため、人間は「思考の近道」を使う。借りは返すべきという「返報性」、決めたことは守ろうとする「一貫性」、皆と同じでありたい「社会的証明」、好きな人はいい人と考える「好意」、権威ある人に従ってしまう「権威」、珍しいものはいいものだという「希少性」など。これらは大体正しくて、素早い判断を助けているが、意図的に悪用されることもあるので注意が必要。

 

 

感想・考察

まず当時の社会状況や著者の略歴など、その本が発行された背景や位置づけを明確にして入るので、理解の枠組みが掴みやすい。

不要な部分は切り捨てながら、キーコンセプトの部分は、具体例も混ぜるなど十分なボリュームで分かりやすく説明している。

とくに「捨てる」部分は全体をよく理解していなければ判断できないだろう。あっさりしていながら作者が深く読み込んでいることがわかる。50冊のうち何冊か実際に読んだことがあるが、その本の紹介で「切り捨て方」の上手さに感銘を受けた。

 

ビジネスを行うのであれば「この理論はこんなことを言っている」という程度のコンセプト理解は最低限必要だと思う。

そこから進んで、本書で提示されたコンセプトに興味を持ち「自分の状況にどれが適しているのか」とか「実際に導入するには何をすればいいのか」という段階に至れば、原書を読めばよいのだろう。

読むべき本のスクリーニングとして、実に有益だと思う。
実際に何冊かポチりました。

 

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