BookLetでは、ビジネス書や小説の1000文字程度のオリジナルレビューを掲載しています。

オリエント急行の殺人

こちらで購入可能

あらすじ ー ネタバレ

アガサ・クリスティーの名探偵ポワロシリーズ。

 

オリエント急行に乗り合わせた乗客は以下の通り。
エルキュール・ポワロ・・・探偵
ブーク・・・鉄道会社重役
コンスタンティン・・・乗り合わせた医師

メアリ・デブナム・・・イギリス人家庭教師
アーバスノット・・・イギリスの軍人
ラチェット・・・金持ちの男性、オリエント急行で殺害される。
ヘクター・マックィーン・・・ラチェットの秘書
エドワード・マスターマン・・・ラチェットの召使
ハバード夫人・・・騒がしいアメリカ人夫人
ドラゴミロフ公爵夫人・・・ロシア革命から逃れた富豪
ヒルデガルデ・シュミット・・・公爵夫人のメイド
アンドレ二伯爵・・・ハンガリーの外交官
アンドレ二伯爵夫人・・・伯爵の妻
グレタ・オールソン・・・スウェーデン人の女性
サイラス・バードマン・・・アメリカ人の私立探偵
アントーニオ・フォスカレッリ・・・イタリア人セールスマン
ピエール・ミッシェル・・・フランス人の車掌

 

ポワロはイスタンブールからカレーに向かうオリエント急行に乗り込んだ。本来空いている時期にもかかわらず、なぜかその日の列車だけは満席で、たまたま居合わせた友人の鉄道会社重役ブークの手配で席を得ることができた。

ラチェットは「何ものかに狙われている」といい、ポワロに警護を依頼したが、彼のことが気に入らないポワロはその申し出を断った。

深夜、深い雪に阻まれ列車は立ち往生してしまう。その前後、ポワロはラチェットのいる個室からうめき声のようなものを聞いたが、その直後、ラチェットの部屋から車掌に対し「なんでもない」と言うのが聞こえたため、気にしなかった。

翌朝、ラチェットが個室内で殺されているのが発見された。同乗していた医師は、雪で立ち往生した0時から2時の間くらいに死んだと判断した。

個室に男性が入ってきたというハバード夫人の証言や、Hの刺繍があるハンカチや、パイプクリーナーなどの遺留品もあった。ポワロ自身も含め数人が赤いガウンの女性を見ていたが、それが誰だったのかは分からない。ラチェットがもっていた時計が1時15分で止まっていたが、これも殺された時に止まったものなのか、誰かが偽装したのかはっきりしなかった。

遺留品や証言は数多く出てきたが、全員の証言を聞くと全員にアリバイが成立してしまう。誰かが嘘をついていると思われたが、誰の言葉も裏付けをとることができなかった。

ポワロは、ラチェットの部屋に残された焼けた紙片「デイジー・アームストロングのことを忘れ・・」という文字を見付け、ラチェットが数年前にアメリカで起きた少女誘拐殺人事件の犯人カセッティだったことを知る。

デイジー・アームストロングは3歳の時に誘拐され、身代金を支払った後に死体となって発見された。失意に沈む母 ソニア・アームストロングは妊娠中の子供を流産して死んでしまった。また父親も悲嘆にくれけん銃自殺をした。また無実の疑いをかけられたデイジーの子守も絶望して自殺してしまうなど、多くの悲劇を引き起こした事件だった。

ドラゴミロフ公爵夫人はデイジーの母親と親交があり、動機は有ったが、彼女にもアリバイがあり殺害は不可能だった。

アンドレ二伯爵夫人が Elena ではなく、Helena だと気付いたポワロは、Hのイニシャルの縫い付けられたハンカチが彼女のものではないかと疑い、それを糸口に彼女が、ソニア・アームストロングの妹であることを見抜く。

複数の関係者が偶然乗り合わせていたとは考えにくく、そもそも閑散期に列車が満員になった不自然さからポワロは推理を進め、鉄道会社のブークと医師のコンスタンティンを除く全員が、デイジー・アームストロング誘拐事件の関係者だったことを突き止める。

改めてアームストロング誘拐事件との関係は以下の通り。

メアリ・デブナム・・・アームストロング家の家庭教師
アーバスノット・・・アームストロング大佐の友人
ラチェット・・・デイジー誘拐犯のカセッティ
ヘクター・マックィーン・・・ソニア・アームストロングのファン
エドワード・マスターマン・・・アームストロング家の使用人
ハバード夫人・・・ソニアの母、リンダ・アーデン
ドラゴミロフ公爵夫人・・・リンダ・アーデンの友人
ヒルデガルデ・シュミット・・・アームストロング家の料理人
アンドレ二伯爵・・・妻であるヘレナの事情を知り参加
アンドレ二伯爵夫人・・・ソニア・アームストロングの妹、ヘレナ。
グレタ・オールソン・・・デイジーの乳母
サイラス・バードマン・・・自殺した子守の恋人
アントーニオ・フォスカレッリ・・・アームストロング家の運転手
ピエール・ミッシェル・・・自殺した子守娘の父親

この事件は12人の関係者による、許しがたい犯罪者カセッティ への復讐として計画されたものだった。

真相に辿り着いたポワロだったが、罪を犯しながら法を逃れたカセッティへの断罪を正当なものだと考え「外部犯による犯行」だと結論付けた。

 

感想・考察

「嘘をついているのは誰か」を考えていたら、実は「全員が嘘をついていた」というオチ。「偶然にしては出来過ぎ」と思いきや「仕組まれた必然だった」というのは、今読んでも型破りだ。

クリスティーは、ミステリの約束事を大胆にずらして読者を驚かすような作品が好きなようだ。クリスティーの作品では「アクロイド殺人事件」も大好きだが、これも当時としては斬新な掟破りだったのだろう。

何度も映画化されたり、色々なミステリでオマージュされていたりするので、古典的なスタンダード作品だと思っていたが、原作を読むと枠にハマるのを拒否するパワーあふれる作品だった。実際に読まないと分からないものだ。

こちらで購入可能

コメント

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。また、* が付いている欄は必須項目となります。