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朱色の研究

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あらすじ

臨床犯罪学者の火村英生と、ミステリ小説家有栖川有栖が事件の解決に挑む「火村英生シリーズ」。

登場人物の整理をしておく。
火村英生  :臨床犯罪学者、度々警察に協力している。
有栖川有栖 :ミステリ小説家。火村の活動を助ける。
貴島朱美  :火村ゼミの学生。事件の調査を火村に依頼する。
山内陽平  :朱美の伯父。幽霊マンションの空き部屋で殺害される。
宗像庄太朗 :朱美の伯父。6年前に火災で死亡。
宗像真知  :朱美の伯母、庄太郎の夫。
宗像正明  :朱美の従兄で真知の息子。駆け出しのカメラマン。
宗像亜紀  :朱美の従妹。正明の妹。
六人部四郎 :正明の後輩。山内の会社で一時期働く。
中村満流  :正明の友人。カメラマン。 
升田尊信  :山内のビジネスパートナー。
大野夕雨子 :二年前に別荘で殺害される。山内陽平の元恋人。

ゼミ生である貴島朱美が、二年前に起きた殺人事件の調査を火村に依頼した。

火村と有栖川が調査に取り組み始めたところ、早朝に何者からかの電話で、二人は近くの幽霊マンションと呼ばれる建物の空き部屋に向かうよう指示され、殺害された死体を発見した。

火村たちがマンション近くですれ違った六人部が、彼の弱みを握る何者かに誘導され死体発見された部屋に一晩いたことが分かり、その供述の不自然さから容疑を受けたが、火村の推理により容疑は晴れた。

その後、火村たちは二年前の殺人事件を調査する。

被害者の夕雨子には、致命傷となった打撲傷と、死後に石を投げつけられた傷の二つがあった。投げつけられた石の形が特徴的で、その石を覚えていた証人が現れたことで犯行時刻が推定されていた。

火村たちと関係者は、事件現場の別荘に向かい事件当日に撮ったビデオを見るが犯人は特定できない。誰もにアリバイがあるが、どれも微妙に穴のある不完全なアリバイだった。

火村は、6年前に宗像庄太郎が亡くなった火災、2年前の別荘での殺人、そして今回の幽霊事件を繋ぐ道筋を見出した。

感想・考察

3つの事件の繋がりと、動機となる Why Done It は最後まで見えなかったが、犯人当て Who Done it としては割合とシンプルで読み解きやすかった。無理にひねったトリックではなくて、順を追って考えれば正解に辿り着く。

謎解きの面白さもあるが、絵画的なイメージを喚起する夕景の情景描写や、太陽信仰にまつわるトリビアなどが、本作を印象的にしている。

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