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走る奴なんて馬鹿だと思ってた

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あらすじ

極端な不摂生で身体の限界を感じた44歳の作家が、健康を取り戻すため走り始めた。

最初は、100m走るだけでも息が切れていたが、いつしか走ることに取りつかれていく。コンスタントに10㎞から20㎞を、5分/キロというペースで走り切るエリートランナーとなった。

「速く走る方法」などのノウハウは一切なく、著者が住む中目黒周辺のランニングコースの紹介や、怪我との戦いなど、個人的な経験を個人的な視点で描く、マラソンエッセイ。

感想・考察

走ることにここまで入り込めるのは羨ましい。

私も走っている間の孤独感が好きで、10年以上は緩いペースで走り続けているが、残念ながら松久氏のようには没頭することができないでいる。
いくら走っても、まったくタイムが伸びず、体が痛くなるだけで気持ちよさを感じることができない。いまだ「走ることを楽しむ」段階に至っていない。

松久氏は、走り始めてしばらくたった段階で、タイムや距離が延びることを実感していて、そのフィードバックがモチベーションに繋がったのだろう。タイムと距離が頭打ちになっても新しいコースを開拓したり、「シン・ゴジラ」の奇跡を追うコースを見出したりと、マニアックに楽しみを追求している。
また原稿依頼される前から、走ることをエッセイにして経験をアウトプットしようとしていた。

松久氏が実践していて、自分に足りないと思うのは、
・こまめな成果フィードバックによるゲーミフィケーション
・スキルの拡大が新たな経験を招き、好奇心を刺激する
・マニアックなコンプリート癖を満足させる
・アウトプットを想定したインプット
といったあたりだろうか。

直接に他者との勝敗を競う競技であれば、勝ち負けという結果がダイレクトに帰ってくるし、チームスポーツであればチーム内で反応があるだろう。
だが、マラソンのように基本的一人で行う競技で、真の競争相手は「自分自身」という種目では、自分でフィードバックを作っていかないと成長を目指すことができない。

人生では「他者との競争」で成り立つステージもあれば、「チームプレー」をしていくステージもあると思うが、その根底で生涯途切れることなく続くのは「ひとりプレー」としての競技なのだと思う。競争相手も一緒に取り組む仲間も大切だが、継続的に自分を成長させるのは、自分自身でゲームを楽しむ姿勢なのだろう。

著者は「マラソンは人生だなんて言わないよ絶対」と書いているが、そこはかとなく人生を感じる内容だった。

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