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世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

「体に良い食品」をエビデンスベースで紹介。『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』

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要約

健康になるという観点において、現時点で最も「正解に近い」と考えられている食事を挙げている。

1.健康に良い食品と悪い食品

エビデンスをもって健康への影響が確実に分かっているのは、以下の通り。
健康に良い食事
① 魚
② 野菜と果物(フルーツジュース、ジャガイモは除く)
③ 茶色い炭水化物(精製度の低いもの)
④ オリーブオイル
⑤ ナッツ類
健康に悪い食事
① 赤い肉(豚や牛のこと。鶏肉は除く。加工肉は特に悪い)
② 白い炭水化物(精製度の高いもの)
③ バターなどの飽和脂肪酸

これらの食品は、信用度の高いランダム比較のメタアナリシスで、影響が確認されている。
一方で、ダークチョコレート、コーヒー、ヨーグルトなどは、エビデンスレベルの低い研究で、健康に良い可能性が示唆されているが確実性は低い。

2.「成分」ではなく食品全体が大事

果物が健康に良いことは確実だが、フルーツジュースは悪影響が確認されている。βカロチンを含む野菜には健康に良い影響があっても、βカロチンだけを端と独で取り出したサプリメントでは効果が確認されておらず、逆にがんのリスクを上げることが確認されている。

また、太る原因として避けられがちな「炭水化物」だが、白米や砂糖などの精製度の高い「白い炭水化物」と、玄米や全粒粉など精製度の低い「茶色いタンス怪物」では、体に与える影響が全く異なっている。

感想・考察

「野菜を食べなさい」というタイトルより「健康になりたければ野菜は食べるな」の方が売れそうだ。当たり前のことはインパクトが弱い。

多数の実験で確認されているエビデンスレベルの高い事実よりも、実証数「n=1」に過ぎない「個人の感想」の方が力を持つことがある。
「個人の感想」にはストーリーがあり、「ストーリー」は人の感情を動かすからなのだろう。
どれだけ「エビデンスレベルの低い話に飛びついちゃダメ」と訴えても、「理屈」よりも「感情」の方が人を動かす力は強い。

最近であれば、堀江貴文氏あたりが「過剰な自粛傾向」に理屈で反論しようとしているが、それは通らないと思う。「自分の大事な人を病気で失うわけにはいかない」という思いは確率論で語れることではなく、どこまでも個人的な「n=1」の世界の話だ。

「ストーリー」を上書きできるのは、より深い「ストーリー」だけだ。

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