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ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

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要約

1.組織モデルのパラダイム進化
歴史の発達段階に応じて、経済や権力構造などが変化し、それに応じて「組織モデル」も発達してきた。
著者は組織モデルのパラダイムを色に例えて解説している。

①受動的(無色)
血縁中心の小集団。10数人程度。自分と他人との境界が曖昧。

②神秘的(マゼンダ)
自己と他者の区別が生まれるが、中心は自分。数百人規模。

③衝動型(レッド)
自他の区分、単純な因果関係の理解による組織としては最初の形態。力と暴力による支配で、いまでもマフィアなどの世界で残存している。

④順応型(アンバー)
時間の流れによる因果関係を理解し、計画することが可能なる。規律による階層制度がベースとなる。今日では教会や軍隊などで見られる。

⑤達成型(オレンジ)
「命令と統制」から「予測と統制」の実力主義へ以降。効率的で複雑な階層構造を有する。今日の企業は大多数が達成型パラダイムに基づいている。

⑥多元型(グリーン)
物質主義への反動から生まれたコミュニティ型組織。平等と多様性を重視し、ボトムアップで意思決定する。

⑦達成型(ティール)
組織自体を自律的な生命体とみなす。自主経営、全体性、存在目的を重視する。

2.進化型(ティール)組織とは
達成型のパラダイムでは組織を「機械」に例え、効率や、構成員の交換可能性を意識している。
多元型のパラダイムでは組織を「家族」に例え、構成員のコミュニティーを重視し、リーダーは良き奉仕者であろうとする。

これに対して進化型パラダイムでは組織を「生命体」に例える。全体性を重視し、複雑性を持ちながら機能し、常に進化を続けている。

進化型組織が重視するのは以下の3点。

①自主経営
・進化型組織には階層構造がない。上司やミドルマネジメントは存在しない。役職も肩書もない。

・意思決定は各ユニットで行われる。大規模な投資、予算の策定や執行、人員の採用や教育、自分自身の給与額についても、自分で決定していく。

・自主的に決定するが関係するすべての人に助言を仰ぐ「助言プロセス」が不可欠。CEOであっても周囲の助言なく意思決定することはできない。ただしあくまで「助言」に過ぎず、他者の判断を変えることはできない。

・基本的には「信頼」に基づいている。職場規則や職務記述書などは働く人の可能性を妨げるものだとして用いられることがない。

・実績はチーム単位で把握される。予算と達成率の比較などはせず「組織の存在目的に合致する行動ができたか」が基準となる。



②全体性
特に達成型組織では人間の全体性が阻害されている。会社では「会社の顔」で過ごすことが求められ、それ以外の部分を隠しながら活動している。
進化型組織では、人はその全体を表現することを許容している。


③存在目的
進化型組織では、市場シェアや成長、利益ではなく「存在目的」を重視する。孫崎目的が文書化されることはない。
組織にはそれ自体に魂と目的があると考え、無理に方向を決めないよう気を付けることが必要。

3.進化型組織の実例
著者が取材した進化型組織の実例をいくつか紹介している。
競争型組織のように、売上や成長を目的としていないにもかかわらず、売上や成長の面でも結果的に優れている。

4.進化型(ティール)組織の創造
進化型組織は他の組織パラダイムから移行するためには、経営トップと組織オーナーの意識が決定的に重要。
トップが進化型の認識でなければ、ボトムアップで変えていくのは難しい。
起業時点がベストのタイミングかもしれない。

業種、組織規模、地理的条件、文化的背景は重要ではなく、様々なケースで進化型組織は実践されている。

感想・考察

(おそらくは平均的な)企業で長く働いていると「階層構造も役職もない」、「目標がない」、「規則も業務内容も書き出したりしない」、「採用も給与額もチーム内で決める」というやり方は、結構衝撃的だ。
本を一冊読んだくらいでは、実際にはどうやって運営していくのかイメージできない。

でもその進化型組織が、「そこで働く人たち」や「そのサービスを受け取る人」を幸福にしているという「成果」をみると、本当に素晴らしいと思う。

苦痛を感じながら生きるために仕事をするのは、やっぱり人生の無駄遣いだ。
一人の人間全体として関わっていける仕事が理想だというのはよく理解できる。

だが、その実現の壁は高い。

著者も認めているが、現状で達成型の組織を進化型に変えていくことは、自分がトップにいるのでなければ非常に難しい。
また、本書では成功したケースだけを取り上げているが、進化型組織のハンドリングの難易度が相当高いであろうことも想像できる。
だからといって組織から離れてフリーになっても、業界全体が達成型のパラダイムであれば、そこに絡めとられてしまうだろう。

著者は「社会の発展段階に応じて、組織が進化してきた」と言っている。組織パラダイムは「変える」ものではなく、歴史の流れに沿って「変わる」ものであるなら、移行はコントロールできず時間がかかるのかもしれない。

とはいえ、資源に限りのある星で、成長を前提とした競争型パラダイムが永続することはあり得ず、やがて他のパラダイムに進化するのは間違いない。
微力でも世界を良くしていくことに力を注いでいきたいと思う。

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