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きみと暮らせば

きみと暮らせば

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あらすじ

相田家は 25歳の兄 陽一と中学3年生 ユカリの2人暮らし。二人は 10年ほど前に再婚した両親の連子同士で血は繋がっていない。
5年前に両親が事故死し、陽一は大学を辞めて働き始め当時まだ小学生だったユカリを引き取ることを決意した。
そんな相田家での出来事を綴る5つの短編集。

猫と兄妹

ある日、相田家の庭に猫が迷い込んできた。
ユカリはその猫を飼いたいと思ったが、陽一は通勤途中にある家で飼われていた猫ではないかと考える。
二人は猫を返しに向かったが。。

結局猫は「種田さん」と名付けられ、相田家の一員となる。

あいまい弁当

家計が厳しいにも加々良らず相談なくゲーム機を買い、休日には引きこもっている陽一を愚痴るユカリ。陽一に彼女でもできればまともになるだろうと、ユカリの友人の姉を紹介する運びとなる。
ユカリは陽一と友人の姉とのデートをセッティングしたが、陽一がデレデレする様子に嫉妬し不機嫌になってしまう。ところが友人の姉は元カレからの連絡を受け嬉々として席を立ってしまった。
妹は不機嫌になり、デート相手からはあっさりフラれ落ち込む陽一をみて、ユカリはさすがに申し訳ないと思い、翌日陽一に持たせる弁当に謝罪メッセージを仕込んだ。

空色の傘

雨の夕方、ユカリは陽一に傘を持って駅まで迎えに行った。
途中、小学生の少年が傘を持たず佇んでいたので、ユカリは自分の傘を渡した。ユカリは「少年の役になったのなら良い」と思いながら、大切にしていた傘を手放してことを公開もしていた。
その数日後、傘を貸した少年と同年代の少女が相田家を訪れた。
傘に書いてあった名前を見て相田家を探り当てたが、傘は無くしてしまったという。傘が戻らなかったことは残念だが、わざわざ謝りに来てくれたことを嬉しく感じる相田兄妹だった。
だがさらにその数日後、今度は少年が一人で相田家にやって来た。

夏のきらめき

相田家の近所に住む老人が入院し、親しくしていたユカリは見舞いに行った。
老人の病状は大したことはなかったが、出産を控えた孫に家庭菜園で作った野菜を送るという約束を果たせないのを残念がっていた。
話を聞いたユカリは兄の陽一や友人も巻き込んで、老人の菜園の世話を引き受けた。
ユカリに振り回されながらも、決めたことは頑なにやり通す彼女を頼もしく思う陽一だった。

ポトフにご飯

両親の法事の席で、陽一がユカリを引き取ったことを快く思わない親戚が、ユカリを養子にしようとし「陽一は自分が寂しいからユカリと一緒に暮らしているだけで、それでは彼女は不幸だ」と言った。
ユカリは全く受け入れず、陽一も彼女を手放す気持ちはなかったが、それでもユカリと一緒に暮らすことはは自分のわがままなのではないかという疑念が絶えなかった。

ユカリのクラスの副担任である鹿野は、陽一の中学時代の同級生だった。
三者面談を機に鹿野と陽一は再会し、同窓会を企画して話をするようになった。
陽一は鹿野に「自分たち家族は模造品なのではないか」という悩みを打ち明ける。

きみと暮らせば

ユカリの在宅時を狙って頻繁にかかってくる無言電話は、ユカリが幼いころに家を出ていった実母からのものだった。
ユカリは母の誘いを受け彼女に会いに行ったが、申し訳なく感じてしまい兄には言い出せずにいた。
母は、かつて夫とユカリを捨てたことを謝罪し「できるなら一緒に暮らしたい」と伝えてきた。

感想・考察

ユカリの教師が座右の銘として「花を見て根を思う人になれ」という言葉を紹介している。表面に見える振る舞いや成果は、日々の地道な積み重ねの結果なのだということだろう。

この作者さんは、本作でも「純喫茶トルンカ」でも、話の展開に派手さはないが、地道に積み上げたエピソードが登場人物たちの人格を浮かび上がらせている。丁寧にコーヒーを淹れたり、家族のことを考えて食材の買い出しをしたり、ごくごく当たり前の日常的な所作を描くことで、その人の心の美しさを表現している。
言うなれば「根を描いて、花を表現する」手法だ。

いろんなことを雑にしちゃいけないな、と思わされた。

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