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キネマ探偵カレイドミステリー

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あらすじ

映画を愛する引きこもり嗄井戸高久が、友人の奈緒崎と事件を解決していく。4つの連作短編集。

  • 「逢縁奇縁のパラダイス座」(ニュー・シネマ・パラダイス)

留年がかかった奈緒崎は、教授から「嗄井戸高久を大学に連れてくること」を命じられる。

嗄井戸を連れ出すため、奈緒崎はかつて自分も住んでいた下北沢に赴いた。

嗄井戸のアパートは奈緒崎がかつて住んでいた下北沢にあり、奈緒崎は当時かわいがってくれた映画館の経営者と再会した。
その映画館が、経営不振のため地権者から追い立てられ、数日後に閉館するという話を聞き、奈緒崎は残念に思う。

嗄井戸は映画を愛する筋金入りの引きこもりで、奈緒崎が手を尽くしても大学に連れ出すことはできなかった。

数日後、改めて嗄井戸のアパートに訪れた奈緒崎は、閉館予定だった映画館が変わらず営業しているのを見た。聞けば地権者が火災で亡くなり、追い立てれることがなくなったのだと言う。

奈緒崎が嗄井戸にその話をすると「映画館を潰すような無粋な奴を殺すなんて、いいことをしたよ」と、火災は事故ではなく意図された殺人だと断じた。

  • 「断崖絶壁の劇場演劇」(独裁者)

奈緒崎が試験を受けていると、窓の外で騒ぐ男がいた。

彼は校舎7階の外壁の縁に立ち、意味不明な言葉を拡声器を使って叫んでいた。
「申し訳ない。私は三番目の皇帝になりたくない。四人目である私は支配はしたくない。六人のユダヤ人も、八人のユダヤ人以外も、一人の黒人も、六人の白人も、人類はみな助け合うべきである。・・・」
やがて男は窓から室内に入り、静かに消えていった。

その男は成績優秀な生徒だった。
この光景を撮った動画を見た嗄井戸は、即座に彼の意図を見抜いた。

  • 「不可能密室の幽霊少女」(ブレア・ウィッチ・プロジェクト)

奈緒崎が嗄井戸のアパートを訪れると、女子高生の矢端束がいた。彼女は嗄井戸に人探しの依頼をする。

束の通う高校には幽霊の噂があった。夜間に学習室で倫理の教科書を開き、その上で合わせ鏡をすると、かつて殺された女子生徒の幽霊が現れるという。
噂の元になった女子生徒と親しかった男子生徒が「幽霊の話は単なる噂」だと証明するため、学習室にビデオカメラを持ち込み再現実験をしてみた。
同行していた後輩女子は学習から血濡れの女子生徒が現れるのを見る。部屋に入ると男子生徒の姿は消え、ビデオには彼が血濡れの女子生徒に襲われる様子が移っていた。

ビデオに残された動画を見た嗄井戸は「モキュメンタリ(ドキュメンタリ風の作り物)」だと断じた。

  • 「一期一会のカーテンコール」(セブン)

どうやっても部屋からでてこない嗄井戸に苛立った奈緒崎は、誰かに襲われたふりをして彼を引きずり出した。
嗄井戸は自分が部屋から出られなくなったトラウマを語り、二人の関係は決定的に壊れてしまう。

その頃、奈緒崎がすむ戸田周辺で、連続殺人事件が起こっていた。
猟奇的な殺人現場は、何かの「見立て」であると奈緒崎は考えた。

感想

嗄井戸の天才肌な安楽椅子探偵っぷりと、子供っぽい振る舞いのギャップが可愛らしい。奈緒崎との交友が微笑ましい「バディもの」だ。

ミステリの謎自体は凝ったものではないが、謎を映画に絡めていくのが面白い。

まとまった時間を取れず、最近は映画を観る機会が減っている。
本であれば細切れ時間で見れるし、Youtubeなどで10分程度の動画を倍速で見る時間はあるが、2時間前後の時間をそれだけのために確保するのは難しい。

とはいえ、やはり映画は魅力的だ。
たまには細切れ時間を寄せて、映画を観る時間を作ってみよう。

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