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大人のADHD ――もっとも身近な発達障害

大人のADHD ――もっとも身近な発達障害

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要約

  • ADHDとは

注意欠如多動性障害(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)

以前は小児科の病気だと思われていたが、成人期の発達障害の中でも症例が多いことが判明してきている。

小児期のADHDが成人するまでに改善するケースも多い。また、ある程度知性が高いADHDの場合、小児期には症状が明確に出ず、社会人となってから適応ができず発現するケースもある。

家庭環境や養育状況によって発現するのではなく、生まれながらの生物学的な要因に関連している。遺伝的な影響が極めて大きい。

  • 症状

脳などの器質的な異常は明確には認められない。おもな症状は不注意と多動。

・不注意
集中ができず、ケアレスミスが多い。忘れ物、なくしものが多い。片付けが苦手。時間を守れない、等。

・多動性
落ち着きがない。一方的なおしゃべり。感情が高ぶりやすく衝動的な行動を取る。

成人になると衝動性の高さから、喫煙や薬物の過剰摂取、危険な運転、衝動買いなども見られる。ADHD患者はギャンブルや薬物などの依存症を発症する確率も健常者の2倍ほどだった。

  • 社会生活

小児期のADHDは、軽症であれば問題視されないことも多い。
しかし、社会生活上での責任が重くなってくる成人以降は、不注意によるミスなどが許されず、対人関係構築が難しくなる。
就業しても継続できないケースもあり、社会生活が困難となる患者も多い。

  • ADHDと他疾患

ADHDはうつ病や不安障害などと併存するケースも多い。
ADHDを有する者のうつ病罹患率は健常者と比較して2倍以上となっている。

ADHDを原因とした適応障害が原因となってうつ病を引き起こした場合でも、背景にあるADHDは見落とされがちで、うつ病の治療だけが行われるケースも多い。

統合失調症や境界性パーソナリティー障害などとも共通する病状があるため、誤診されたり見逃されたりすることもある。

  • ADHDとASD

ASD(自閉症スペクトラム障害)には、自閉症やアスペルガー症候群などが含まれる。

「同一性へのこだわり」と「対人相互反応の障害」が基本的な症状で、特定のモノに強い興味を抱いたり、相手の表情や言葉のニュアンスを読むのが難しかったりする。

ADHDとASDは併存することもあるが異なる病気。ただ行動には類似する点も多い。

ADHDの不注意さと、ASDが対象に集中するあまり注意の配分ができないことは一見同じに見えたり、ADHDが不注意で相手の表情を見逃すのと、ASDの相互反応障害が、結果的に同じように見えることもある。

  • 診断・治療

ADHDに特化した臨床検査は存在しない。

児童期かそれ以前の情報が重要となるが、本人や家族の記憶があいまいなことも多い。一方で学生時代の通知表などは重要な情報となる。

ADHDの基本的な障害はノルアドレナリンとドーパミンの機能障害であると考えられ、それらを改善する薬物療法が効果を示す。
また認知行動療法で改善するケースも多い。

感想

発達障害の捉え方は難しい。

器質的な異常は認められないといっても遺伝要素が強い以上、何か物理的な要因はあるはずだ。
そしてその症状の発現は、環境要因などの影響を受けて程度が異なってくるのだろう。
そう考えると「個性」と「障害」の区別も難しくなってくる。
例えば少し前に読んだ、さかなクンの本を見ると彼は明らかにアスペルガーでADHDの傾向もありそうだ。だが環境に恵まれ、むしろ個性を強みとして活かしている。投薬や認知行動療法で、彼の行動を「修正」するべきでは無かったと言えるだろう。

一方で、社会適応が上手くできず困っている人たちにとっては、投薬などで状況が改善する可能性があると知ること、「生まれ持った病気の一種」だということの周囲に理解されること、が救いになる可能性があるのだろう。

また、診断自体もとても難しいのではないかと感じる。
臨床診断で判断できない以上、患者本人や周囲の情報が基になるが自分で診断テストをしてみても、「正直版」と「医者を前にしたらこういう版」で回答が異なるし、それを補正するのは大変だろう。

病気を治すのではなく、社会適応の道を開くことが大事だと思うが、一人ひとり異なる状況で、医者がまとめて対応することは難しい。

正直自分自身と身の回りの人のことを考えるのが精いっぱいだ。。

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