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涼宮ハルヒの憂鬱

ネタバレあらすじ紹介『涼宮ハルヒの憂鬱』

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あらすじ

涼宮ハルヒとの出会い
「東中学出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」

高校一年生の キョン は、涼宮ハルヒのエキセントリックな自己紹介に入学初日から圧倒される。

SOS団の結成
「普通過ぎて面白くない」というハルヒに、キョンは「あるもので満足するしかない。ないモノを作り出すのは天才の仕事」と諫めた。
だがその言葉を聞いたハルヒは「自分でおもろ白い部活を作ればいい!」と動き出す。

ハルヒは、無口な文芸部員の長門有希、いたいけなロリ巨乳の上級生 朝比奈みくるを強引に勧誘し、SOS団(世界を 大いに盛り上げる 涼宮ハルヒの団)を結成した。その後「謎の転校生とかも欲しい」というハルヒの言葉通り、時期外れの5月に転入してきた 古泉一樹 もSOS団に加入した。

朝日奈にバニーガールのコスプレでビラ配りをさせたり、デタラメに怪奇現象探しをさせたり、ハルヒは団員を振り回しながら、SOS団の活動を楽しんでいた。

宇宙人のインターフェイス 長門有希
ある日、長門有希はキョンに、自身が「情報統合思念体によって造られた、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス」であることを打ち明ける。

統合思念体は、3年前に地球上での爆発的情報フレアを観測していた。
自律進化の限界を迎えていた統合思念体は、情報フレアの特異点となっている涼宮ハルヒが更なる進化のきっかけとなる可能性を見出し、長門はその観測を行っていた。

ハルヒは無意識に、自分の望むように環境に変化を及ぼす力を持っているという。その彼女が「キョンを選んだこと」に重大な意味があると考え、長門は自分の正体をキョンに打ち明けた。

未来人 朝比奈みくる
数日後、朝日奈みくるはキョンとペアになって怪奇探しをしているとき、自分が「未来から来た人間だ」と告白した。

3年前に大きな時間振動が計測されたのだという。
朝日奈たちは調査に赴こうとしたが、3年前に大きな時間断層があり、それ以上遡れないことが判明した。
涼宮ハルヒが時空の歪みの中心にいて、彼女が時間平面に干渉していることが確認された。朝日奈は涼宮の周辺で新しい時間の変異が起きないよう監視員として未来から送られたのだという。

超能力者 古泉一樹
古泉は自分が「3年前に涼宮ハルヒの監視を最重要事項として発足した『機関』の一員である」と打ち明けた。

世界は3年前に涼宮ハルヒが創造したものだとしても矛盾はない。
機関はそう考えているようだ。

ハルヒは世界を自在に操るに至ってはいないが、無意識のうちにその力を行使している。
「宇宙人や未来人や超能力者に会いたい」という言葉通り、長門や朝日奈、古泉が彼女の元に集ったのも、彼女の望みが現実化したのだという。

キョン襲撃される
キョンのクラスメートで美人ランクAA+の朝倉涼子は、長門と同じ統合思念体のヒューマノイド・インターフェイスだった。
朝倉はハルヒの反応を見るためキョンを殺害しようとした。彼を守ろうとした長門との戦いになり、敗北した朝倉はき光の結晶に分解され消えてしまった。
長門の情報操作により、朝倉は急に転校したものとされた。

キョンは長門たちの言葉を信じざるを得ない状況に追い込まれていく。

古泉の超能力
古泉は超能力の証拠を見せるといって、キョンを連れ出した。
キョンと古泉は灰色に覆われた次元断層の隙間「閉鎖空間」に入り込んだ。ハルヒの精神が不安定になるとこの空間が生まれるのだという。
やがてハルヒの精神活動と連動した「神人」と呼ばれる青い巨人が現れ、
閉鎖空間内部で破壊を繰り返していった。神人が破壊するほど閉鎖空間は現実世界を侵食していく。それを止めるのが古泉たち能力者の任務だった。

古泉は光の球となり、巨人を倒していった。

閉鎖空間でのハルヒ
自室で眠っていたキョンが気がつくと、彼は再び閉鎖空間に飛ばされ、そこにはハルヒもいた。
やがて現れた青い巨人たちが世界を破壊するのをみて、ハルヒは「今ちょっと楽しいような」と受け入れる。ハルヒは世界に見切りをつけ、新しい世界を創造しようとしていた。

世界の回復
長門は長門はキョンに「閉鎖世界からの脱出のヒント」を送る。
キョンはハルヒに「この世界はそんなに退屈なものでもない」ことを伝えた。

感想

『涼宮ハルヒ』シリーズ、有名作品だが未読だった。
先月くらいからシリーズ全作が Kindle Unlimited の読み放題対象になっていたので、この機会に読破に挑戦してみる。

小説もアニメもマンガも全く見たことがなく、予備知識ゼロだったが、なかなか面白かった。やっぱり広く受け入れられる作品には魅力がある。

導入部は正直古臭い。ここで挫折しそうになった。
冴えない男子主人公が、強引な美少女に引っ張られ「ヤレヤレ」と言いながらハーレム状態を満喫する、男子の欲望を体現した学園ラノベのテンプレっぽい始まりだ。

だが、長門有希が自分の正体を明かしたあたりから、急に物語の風景が変わる。

涼宮ハルヒは映画『マトリックス』ネオのような特異的存在で、彼女の思いを、彼女自身気付かぬうちに、世界に反映させている。

「この世界が誰かの夢じゃないとは言い切れないよなぁ」という現実世界の不確かさへの不安感は、「胡蝶の夢」から「5分前仮説」まで連綿とつながっている。ある意味普遍的なテーマだ。

涼宮ハルヒの底抜けな好奇心や行動力は、世界に意味を見出そうという強力な意思なのだろう。無味乾燥な世界に抗っている。

ときにラジカルに走りすぎるハルヒに「いやいや、この世界もそんなに悪いもんじゃないよ」とキョンは伝える。彼が「ごく普通の高校生」であるからこそ現実世界の普通の生活が輝くのだと思う。

未回収の伏線がありそうで、先が気になる。
Kindle Unlimited読み放題対象になっているうちに、読破してしまおう。

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