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涼宮ハルヒの分裂

『涼宮ハルヒの分裂』で分岐ポイントの整理

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あらすじ

涼宮ハルヒシリーズ第9弾。


高校2年に進級した4月、ハルヒは新入生のSOS団勧誘など精力的に活動していたが、ハルヒの精神が不安定で「閉鎖空間」が頻出していた。

春休みの最終日、偶然出会ったキョンの中学時代の親友佐々木の存在に、ハルヒは戸惑っているのだという。

そんな4月のとある土曜日、キョンは再び佐々木と出会う。
佐々木は、かつて朝日奈の誘拐に関わった橘京子と周防九曜を仲間として紹介した。

そこから、物語は2つに分岐する。
作中での時系列は混在するが、整理してみる。

[αルート]
α-1
土曜日の夜、入浴中のキョンは女性からの電話を受ける。
彼女は「これからお世話になる先輩の声を聞きたかった」というが、聞き覚えのない声で誰だか分からなかった。

α-2

キョンは古泉に電話し、橘について尋ねた。
彼女は小泉の所属する機関とは思想を異にする組織の人間だという。
長門には電話はしなかった。

α-3
古泉と話した後、キョンは猫のシャミセンと一緒に眠った。

α-4
日曜日は何の予定もなく、ダラダラと過ごした。

α-5
月曜日、キョンは昼休みに長門に会い周防について尋ねる。彼女は長門を動かす「情報統合思念体」とは別の「天蓋領域」に属するものだという。
放課後、キョンとハルヒがSOS団の部室に向かうと、入団希望の一年生が大勢来ていた。

α-6
ハルヒは入団希望の一年生にSOS団の活躍について説明し「入団試験」を課す。



[βルート]
β-1
土曜日の夜、入浴中のキョンは佐々木からの電話を受ける。
明日話をしたいといって呼び出された。

β-2
キョンは古泉に電話し、橘を知っているのか尋ねた。
彼女は小泉の所属する機関と対立する組織の人間だという。
続けて長門に電話し、周防について尋ねた。
周防は「情報統合思念体」が作った長門とは別系列の「天蓋領域」のものだが、現時点では危険性は低いという。

β-3
キョンは妹に勉強を教える。
そのまま猫のシャミセンと一緒に寝た。

β-4
日曜日、キョンは佐々木、橘、周防に会いに出かけた。
待合せ場所の喫茶店には、かつて朝日奈の誘拐に関わった未来人の藤原もいた。
彼らは「涼宮ハルヒではなく、佐々木が世界の特異点」だと考えていた。
キョンは橘の導きで「佐々木の作り出した異空間」に入り込む。
攻撃的で破壊的なハルヒの異空間と比べ、佐々木の異空間は穏やかで安定したものだった。橘たちは世界は佐々木に委ねられるべきだと信じていた。

β-5
月曜日、キョンは授業中に居眠りし、佐々木の夢を見た。
放課後、キョンが部室に向かうと新入生の姿はなかった。

β-6
キョンたちは部室に長門が来ていないことに気づく。
長門に電話すると、体調を崩して休んでいるのだという。
かつて雪山の異空間に閉じ込められた時と同様、長門に対する攻撃が始まったようだった。

感想

新しいキャラクタも登場し、新たな展開を見せ始めた。
物語が二つに分岐したところで終わっていて、本作だけは完結していない。

シリーズ8作目までは、キャラクタの内面を掘り下げたり、高校生の日常生活を描く青春もの的だったりしたが、本作からまたSF展開に重点を置き直した感じ。

続編の『涼宮ハルヒの驚愕』が楽しみだ。

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