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ジョゼと虎と魚たち

ジョゼと虎と魚たち

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あらすじ

女性視点のラブストーリー。9つの短編集。

  • お茶が熱くて飲めません

テレビドラマの脚本家として成功した あぐりの元を、かつての恋人っだ吉岡が訪ねる。吉岡は事業に失敗し落ちぶれ、歳以上にしょぼくれて見えた。
吉岡は自分の失敗経験を脚本のネタして売り込もうとしていた。

  • うすうす知っていた

地味な事務員として働く梢は、高級婦人服のデザイナーとして活躍する妹の碧を誇りに思いつつねたむ気持ちもあった。碧が結婚するという話を聞いて動揺し、妬みと娯しみの混じったような感覚を味わう。

  • 恋の棺

29歳の宇禰は、19歳の甥である有二に慕われていた。
宇禰は、年下の男に思いを寄せられる喜びと、それをあしらう冷静さの「二重人格」を自分の中に感じていた。

  • それだけのこと

香織は仕事人間の夫から心が離れ、6歳年下の堀サンが好きになっていた。
香織と堀サンは、ブタの指人形「チキ」を介して、言葉を交わす。

  • 荷造りはもうすませて

秀夫は前妻と離婚し、娘と息子は母親に預け、えり子と結婚した。
えり子との結婚後も、秀夫は定期的に実家に戻り子供たちとあっていた。だが秀夫の前妻が離婚し、子どもたちと暮らすため彼の実家に住み始めたと聞き、えり子の心は穏やかでなくなる。
秀夫は実家に戻るとき「不機嫌」の鎧をまとって自分を守ろうとしていた。

  • いけどられて

梨枝の夫である稔は、会社で年下の女を妊娠させ、彼女と結婚するため梨枝に離婚を切り出した。
稔が家を出る最後の日、彼にねだられ梨枝は彼の好きなものが詰まった弁当を作る。稔はなかなか家を出ようとせず、結局家で一緒に弁当を食べた。

  • ジョゼと虎と魚たち

脳性麻痺で下半身の自由が利かない ジョゼは祖母と暮らしていた。坂道で誰かに突き落とされたジョゼを恒夫が助け、それから交流が始まる。
恒夫は就職を機にジョゼたちのもとを離れたが、祖母を亡くし困窮していた彼女を見て、彼女と暮らすことを決意する。

  • 男たちはマフィンが嫌い

ミミは連と会うため、彼の所有する別荘に来ていたが、連の仕事が終わらず3日もひとりで待たされていた。
別荘周辺に現れた「拉鬼連合」と名乗る珍走団にミミは恐怖した。ミミの訴えを聞いた連は、甥の志門を別荘に向かわせた。

  • 雪の降るまで

以和子は花の教室でであった大庭と体を重ねる関係になる。
大庭は以和子に「あんたはいつも『つづき』にならない、一回ごとに完結して、また新しく始める人だ」と評された。

感想

女性視点で、しかも恋愛が中心のなので、どうにも感情移入はしにくい。

感情移入できずストーリーに入り込めないのだが、その分「こういう世界の見え方もありうるのか」という客観的な視点での発見があった。

どうしても、好きな傾向の本に偏ってしまうので、時には普段読まないような本を無理にでも手に取ってみるのもいいのかもしれない。

読み放題のKindle Unlimitedは使えますね。

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