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八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。

八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。

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あらすじ

高校2年生の渡成吾は、一学年上の葵透子と出会う。

成吾は透子のメルアドを聞き出そうとしたが、彼女は「携帯を持っていない」のだという。透子はその代わりに「交換ノート」を提案してきた。

その日から二人は、駅のロッカーを使ってノートの交換を始める。

成吾に惹かれながらも距離を保とうとする透子。
だが思いを募らせた成吾は夏、祭りの日、透子に告白した。

透子は心臓の病気だった。
ペースメーカを使っていて、気を遣った相手の行動を制限してしまうことを恐れていた。誰とも一定の距離を保ち続けてきた。

それでも「迷惑じゃない。気を遣っているんじゃなくて、自分がそうしたいからそうしてる」という成吾と、透子は付き合うことを決めた。

透子は海を見たことがなかった。
ペースメーカに問題が問題が起こることを恐れ、ずっと海を避けてきた。
でもその夏、そばに成吾がいるから、一緒に海に行きたいと甘えてみた。


それから4年後、大学生になった成吾は、透子の墓参りのため、地元に帰ってきた。

透子の家に訪れた成吾は、4年前のままの状態だった彼女の部屋で、かつて使っていた「交換ノート」をみつけた。

4年前の記憶に心乱されたと成吾は、ノートに
「俺はどうしたらいい?透子」と綴った。

数時間後にノートを見ると
「あなたは誰ですか?」と、透子の字で返事が書かれていた。

成吾と透子は、時を超えて「交換ノート」をつけ始めた。

感想

彼女の死後4年がたった「現在」と、彼女と知り合った「過去」を交互に行き来する展開。結末を知っている「八月の終わり」に向かう物語が切ない。

心臓病を抱え「普通に生きられない」ことで、凍り付いてた透子の心を、成吾のひたむきな思いが溶かす。
透子の死で、止まってしまった成吾の心が、4年越しの透子の手紙に込められた思いで、再び動き出す。

たった40日の恋が人生に深い影響を与えることもある。
思えば学生時代は時間が濃密だった。

いまは40日なんて、一瞬で過ぎ去ってしまう。
毎日を大切に過ごさなきゃいけないな。

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