運転者 未来を変える過去からの使者
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運の悪さを嘆く保険営業マンが主人公。
不思議なタクシー運転手との出会いが彼の人生を変えていく。
人生訓を語る自己啓発ものなんだけど、物語としてよくできていて、嫌味なくすっと心に入ってくるお話だった。
心に刺さったフレーズがたくさんあるので、一部を紹介していきたい。
上機嫌じゃないと、幸運を逃しちゃう
「運が劇的に変わる場というのが人生にはあるんですよ。それを捕まえられるアンテナの感度は上機嫌のときに最大になる。逆に機嫌が悪いと、アンテナは働かない。機嫌が悪い人は、最高の運気がやってきている場にいても、それに気づかないでイライラして、早くその場を立ち去りたいということばかり考えてるんです」
その通りだと思う。不機嫌な様子で自分を守ろうとすることもあるけれど、幸せを呼び込める態度じゃない。まずは日々上機嫌でいることが幸運の前提条件なのだろう。
運は「いい」「悪い」じゃなく「貯める」「使う」
「何もしていないのにいいことが起こったりしないんです。運は<いい>か<悪い>かで表現するものじゃないんですよ。<使う><貯める>で表現するものなんです。先に<貯める>があって、ある程度貯まったら<使う>ができる。貯まった運を使うとき、周りから『ついてる』って見えてるだけです」
努力したことは返ってくる。時間はかかるかもしれないけれど。ポイントを貯めるように「陰徳を積む」考え方、しっくりきます。
目先の損得からちょっと離れてみる
「自分が得しそうだと思ったら行動する。損しそうだと思ったらやめる。それがあまりにも当たり前のように染み付いてしまっているんだと思います。もっと純粋に未知のものに対して『楽しそう』『面白そう』って思ってみてもいいんじゃないでしょうか。
目的を持ち、計画を立て、着実に実践していく。目的が明確だからその方向に力強く進むことができる。何か大きなことを成し遂げるためには必要なことなのだろう。でも、その過程で失われてしまうものもある。
してあげたことと、してもらったことの差が「運」
「日々上機嫌で生きているだけで運は貯まります。誰かの幸せのために自分の時間を使うと一気に貯まる」
上機嫌でいることも、周囲の人へのプレゼント。
むしろよかったんじゃないですか
「人生にとって何がプラスで何がマイナスかなんて、それが起こっているときには誰にもわかりませんよ。どんなことが起こっても、起こったことを、自分の人生において必要だった大切な経験にしていくこと。それが<生きる>ってことです」
起きたことの意味は事後的にしか理解できない。逆に、自分の意思で「出来事を良い解釈に持っていく」ことは可能だということ。
「世界にプラスを残す」というプラス思考
「そこにあなたが生まれ、ほんの百年ばかり生きて死んでいく。あなたがその物語に登場したときよりも、少しでも多くの恩恵を残してこの物語を去る。つまり、あなたが生きてきたことで、少しプラスになる。それこそが真のプラス思考じゃないかと思うんです」
大きな変化を起こした人は目立つ。でも、名もなき人たちが積み上げる小さなプラスの総和が、本当に世界を変えている。小さなプラスに目を向けさせることは、大きな貢献なのだと思う。
世界にプラスの爪痕を残したい。
運は巡る
「もう俺のところには来ないでいい。その代わり残りのメーターを、次の世代のために使ってくれないか」
最後に全部が「巡っていた」ことがわかる。いい話でした。
あらすじ
フルコミッションの保険営業として働く岡田修一は、大口契約のキャンセルで給与激減の危機に見舞われる。
修一は苛立ったまま娘の学校の面談に向かう。
捕まえたタクシーは、なぜか修一の行き先と目的を知っていて、料金も取らない。運転手は「あなたの運を良くするのが私の仕事」なのだという。
運転手は修一の運の転機となる場所に導いていった。