死神と天使の円舞曲
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『優しい死神の飼い方』のレオと『黒猫の小夜曲』のクロが共闘する「死神シリーズ」第3弾です。
知念さんの作品で「死神シリーズ」が一番好きなので続編は嬉しい!
イヌとネコの姿を借りた、というかイヌとネコの本能に縛られちゃってる「高次な霊的存在」レオとクロがコミカルで、とにかく可愛いいです。作品全体は明るい雰囲気ですね。
でも扱っているのは「人の死」で、テーマはとても重たい。
人は不器用で、思っていることをきちんと伝えることができません。死んでしまえば改めて伝えたり誤解を解く機会さえ無くなってしまいます。
レオとクロは人の心の中に入り、その人が見てきたものを見ます。そして「見てはいたけれど気づかなかった真実」を見出します。
ミステリとしては安楽椅子探偵的な作りで「見えてるのに気づけない」ものを見抜く鋭さが気持ちいいです。
でも本シリーズでの謎解きは単なるカタルシスではありません。死にゆく人と残される人の両方を救う「真実」の姿が美しく、毎回感動を覚えます。
現実には、真実がいつも優しいものとは限りません。知らなかった方がいい真実もあるし、個人的には嘘が嫌いではありません。むしろ優しい嘘は大好きです。
だから、真実なのか嘘なのかにはこだわらないのですが、きちんと「想い」を伝えることを面倒くさがってはいけない。
クロやレオがいつも自分の周りに居てくれるわけではないのです。
自分の中に「優しい死神」を飼いたい。
あらすじ
死神あるいは天使と呼ばれる「高次な霊的存在」が、黒猫クロと大型犬レオとして人間世界に降臨し、死にゆく人たちが未練を残し地縛霊とならないよう「道案内役」を果たしていた。
前半はクロの活躍。
人魂が出るという山を調査していたクロは、強烈な腐臭をまとい自ら命を絶とうとしてる男、平間大河と出会う。
彼はかつてこの街に住み恋人の柏木美穂と結婚の約束をしていたが、美穂の両親の態度が急に冷たくなり、引き離されてしまう。
大河は、いつかこの街に戻ってレストランを開いて美穂と暮らすことを心の支えに、東京で料理人としての腕を磨いていた。
だが修行を終え街に戻ってきた大河は、過酷な現実と向き合い絶望する。
クロは「見えているのに気づいていない」真実を伝え、大河を救おうとした。
後半はレオの活躍。
美穂の実家に放火される。両親は怪我を負い、そこにいた幼い少女は行方不明となった。
街では連続放火が起こっており、現場はすべて美穂と大河の思い出の場所だった。
クロは少女の行方を追う。