犬はどこだ -The CITADEL of the WEAK-
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「最も嫌いなことは他者に命運を握られること、
「最も嫌いなことは他者に命運を握られること、
次に嫌いなことは他者の命運を握ることだ」
弱者には弱者の戦い方がある!
あらすじ
紺屋長一郎は健康上の理由で東京の銀行を退職し生まれ故郷に戻り、数年のブランクを経て調査事務所「紺屋S&R」を立ち上げた。
紺屋S&Rは「迷い犬探し」専門のはずだったが、開業初日から失踪人捜索の依頼を受けてしまう。依頼人の孫 佐久良桐子 は東京のIT企業を退職し、アパートも引き払っていたがその後の所在がつかめないが、郵便は祖父の住所に転送されているという。
さらに翌日には「神社にあった古文書が価値ある者なのか調べて欲しい」という、これまた犬探し以外の依頼が入ってしまう。
なし崩し的に事務所に潜り込んできた 高校時代の後輩 半田平吉 と手分けして、2つの依頼の捜査を開始した。
全く別の2つの依頼は、やがて意外な接点を見せ始める。
感想・考察
英文タイトルの「THE CITADEL OF THE WEAK」が秀逸だ。訳すなら「弱い者たちの城」という感じだろうか。
古文書から地域の歴史を調べた半田は「弱者のしたたかな戦い方」を知る。失踪女性を捜索していた紺屋も、別の角度から「追い詰められた弱者の戦い方」を見る。
二つのストーリーの絡み合うポイントが「弱い者たちの城」だった。実に上手いと思う。
さらに、ユルい感じで始まって徐々に空気が重くなってくる展開とか、「能力があるのに気力がない」主人公が事件に引っ張られ本気を出したりとか、微妙に不気味で後味の悪い結末とか、とにかく 米澤穂信さんらしい作品だった。
本作の続編はあるのだろうか。