月光ゲーム Yの悲劇’88
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火山の噴火で閉じ込められた大学生たちによる「クローズドサークル ミステリ」です。
澄み切った夏の月夜の下、青春の日々を思い出させる導入から、一転して「火山噴火+連続殺人」というパニック展開をぶち込んでくる唐突感が素敵です。
あらすじ・概要
大学のミステリ研究会に所属する有栖川有栖は、江神たちと共に矢吹山までキャンプに訪れた。そこで出会った他大学の学生たちと意気投合し、キャンプファイヤーやマーダーゲームなどで一緒に遊んでいた。
ところがキャンプ3日目になり火山が噴火し下山道がふさがれてしまう。噴火直前に一人下山した学生の安否が気づかわれる中、キャンプ場に閉じ込められた学生たちが一人、また一人と殺されていく。
感想・考察
本格推理ものとしてよく練られていて論理展開が分かりやすい。「読者への挑戦」 が挟まれているので、きちんと考えてみる気になる。有栖川氏の初の長編とのことだが論理パズルとしての完成度は高いと思う。
一方、やたら登場人物が多いのと、やたら迂遠な言い回しがあることで、正直かなり読みにくい。犯行動機も「えっ、それで。。」というコナン感だった。
初稿は1978年と40年以上前なので、フィルム式カメラとかマッチとかのアイテムが時代がかっているのは仕方ないが、これらが浮いて見えてしまうのは自然な伏線配置という面からは残念。
もう少しこなれてくることを期待して、シリーズ続編を読んでみよう。