しょぼい起業で生きていく
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「大成功」より「死なない」起業。
えらいてんちょうさんの人間力は相当なモノ。全然「しょぼく」はないです。
要約
著者の「えらいてんちょう」が、しょぼい起業から事業を拡大してきた実例を語る。巻末では Ph aさん、借金玉さんとの対談を載せている。
えらいてんちょうは「嫌な仕事をする必要はない」という。
数十年前は最適解だったサラリーマンという選択肢はすでに崩壊し始めている。今の日本では、お金はそれほどなくても死ぬことはない。
嫌なら逃げればいい。
「しょぼい起業」では外部からの資金調達などはせず、「生活の資本化」、「資産の資本化」から始める。
「生活の資本化」とは、今住んでいる家を店舗にしたり、今行っている通勤を物流に使うなど、すでに生活コストとしてあるものを活用する方法。
「資産の資本化」は、既にもっている自動車を空き時間に貸し出すなど、すでに持っているモノでお金を稼ぐことを指す。
「起業で稼いだお金で生活する」のではなく「今の生活でやれること、やっていることを事業化する」という考え方。
「しょぼい起業」でも実店舗があると信頼が得られる。
家賃の二重払いをするくらいなら店に住んでしまえばいい。店はオープンにして常に人がいる状態にすることが大事。そこに「人」がいるからできることが広がる。
「しょぼい起業」で雇用契約を結んで人を雇うのは適さない。
友好関係・信頼関係のある人に、自分のの技術や「やりがい」を提供し、労働力や技術を提供してもらう緩い関係を築く。
「居心地のいい場所」を作り「ストレスのない状態」を維持することが鍵。
広告宣伝に多額の資金を回すことはできない。自分の足と愛想を使うのが一番。
リアルな口コミが一番強いので、安価な景品などで人を呼び込むことも有効。
店舗の宣伝にSNSを使うよりは、先にSNSでフォロワーを集めてから、SNSの世界を店舗で具象化するのが理想。
現状ではTwitterが強いが、テキストベースから動画ベースに移行しつつあり、Youtubeが主流になると考えている。何となく楽しそうな「賑わい感」を演出する。
感想・考察
「しょぼい起業」と銘打っているが、やっていることは全然しょぼくない。
えらいてんちょう のコミュニケーション能力の高さ、アクティブさ、粘り強さは圧倒的だ。「誰にでもできる」ことはないだろう。
それでも色々と参考になる点があった。
起業をするならできるだけ「軽く」始めるべきだというのはよく分かる。
すでに自分がもっている資産や、すでにやっていることなど、追加投資は最低限にして「使えるものは使う」という考え方が「しぶとい事業」を生むのだろう。
また、最後は「人間同士の信頼関係が大事」というのも、当たり前だが軽視してはいけない点だろう。大資本なり圧倒的なシステムなりを持っている大企業と比べ、個人レベルでの事業であれば「人と人の関係」がダイレクトに効いてくる。いや、実際には大企業であっても、内部では「信頼関係」が重要な要素なのだろう。
「Lean Startup × 人間の絆」ってことですね。