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ビアンカ・オーバースタディ

筒井康隆氏の手によるラノベ「ビアンカ・アーバースタディー」が面白い!

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あらすじ

高校で一番美しいと自認するビアンカ北町が主人公。

ビアンカは生物研究部に所属しウニの生殖の観察を趣味としていた。人間の生殖にも興味をもったビアンカは、自分に関心を持っていると思われる一学年下の塩崎哲也に精子の提供を迫る。

生物研究部の千原信忠にも精子を提供してもらうが、その活性の低さを突っ込むと、彼は自分が未来人であることを明かし、未来の人間は生殖能力が低下していることを告げる。

また千原は自分が現代に来た理由は「未来で繁殖した巨大カマキリと戦える生物を探すため」だという。食糧難のため家畜の大型化を研究していたところ、実験用のカマキリが逃げ出し人間の居住地域を襲い始めた。そこでこの時代にいたカエルを持ち帰り巨大化して戦わせる考えだという。

ビアンカは、人間とカエルを交配させれば、巨大で知性も高くカマキリ駆除に適した生物になるのではないかと提案する。千原は倫理的な問題を感じながらも、ビアンカの意見を取り入れ、異種交配を補助する未来の技術を使い、塩崎とカエルの子供を作り上げた、未来に持ち帰った。

千原が未来に戻った後、ビアンカは好奇心から学校教師の精子とカエルを交配させたが、予想以上に大きく成長した人カエルが部室を逃げ出し、学校に大混乱を引き起こす。

感想・考察

ラノベフォーマット自体のパロディとして楽しんでいる感じ。

美少女がやたらエキセントリックな趣味を持っているのはテンプレ通りだが、それが「ウニの生殖の研究」って何やねんという感じだ。

微妙なエロ要素の投入はラノベフォーマット通りだが、全然微妙じゃないド直球の手コキ。。。

タイムリープ設定はよくあるが、巨大カマキリ駆逐のため、過去に戻って天敵を探すというのが非合理で意味が分からない。そういうナンセンスが詰め込まれてがギャグになっている。

未来でのカマキリとの対決シーンでは、急に筒井氏らしい「ドタバタ喜劇」になり、ラノベ感が無くなるのも面白い。

筒井氏自身が「時をかける少女」あたりで、学園タイムリープものの源流を作ったし、フォーマットが固まる前からラノベ的な世界には親和性があったのだと思うが、正面切ったパロディを作ろうという発想が凄い。

70歳を過ぎ文学界の巨匠となっても、こういう遊びをノリノリで楽しめる感性があるのは素晴らしいと思う。

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