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“地頭”がいい人の問題解決力: ――年収1億稼ぐための基礎力

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要約

すべての仕事は「問題解決業」であるとし、問題解決の手法を紹介していく。

1.問題解決力を身につける

「考える力」が問題解決力の差を生む。まずは中途半端で思考停止せず「考えようという意志」を持つことが大事。
「みんなやっているよ」→「みんなって誰?どれくらいの比率?」など

問題解決の3本柱は「論理的思考」「仮説思考」「ゼロベース思考」。

自分の頭を使うためには「思考のロック」を外す必要がある。捨てるべき7つの鍵として以下の項目をあげている。

①固定観念
②常識
固定観念や常識に縛られると思考は限定される。「デザートは女性のもの」という固定観念があると「男のビッグプリン」というヒットは生まれなかった。

③感情
過去に嫌な思いをした等で、感情的に逃げてしまうのも避けるべき。

④言葉
状況を言葉にして安心すると、思考が止まってしまう。例えば「倫理的に問題がある」という場合、具体的には何がどうして問題なのかまで考える。

⑤成功体験
過去の成功体験に引きずられがちだが、状況に合わせて思考するべき。

⑥ マスコミ情報
マスコミ情報は「躍らせよう」としている。本当に欲しいのか、やりたいのか、自分の頭で考えるべき。

⑦知識・情報
知識は重要だが思考を妨げることがある。「IT投資が生産性を高める」例をたくさん知っていることで、より簡単で効果的な方法を考えなくなってしまう。

2.問題の「真因」を見極める

問題の見極めで重要なのは3つのステップ。
①見えない問題を「見える化」する。
②「それが本当に解決すべき問題なのか」を見極める。
③コントロール可能な課題に集中する。
解決しても意味がない課題は捨てるべき。また自分でコントロールできないことを変えようとするのは無意味。

問題発見力を高めるための「5つの力」
①質問力
仮説をもって具体的に聞くと、真の問題が見えてくる。

②数字力
数字は嘘をつく。数字が語る本質をつかむ。

③「瞬間視力」と「立体視力」
必要な情報を瞬間的に把握する能力と、ものごとの相対的な位置関係を認識する能力の両方が必要。

④情報収集力
情報ソースを多く持つことが大切。特に一次情報が貴重。

⑤客観力
自分視点を抜け出して相手の視点でものを見ることが大切。

3.問題を分析するための「フレームワーク」

問題分析の定石としての「フレームワーク」をいくつか紹介する。

①4P
目的(Purpose)、立場(Position)、空間(Perspective)、時間(Period) という4つの軸で、現状とあるべき姿のギャップを捉える。

②空雨傘
空が曇っているという事実から、雨が降るかもしれないと解釈し、解決策として傘を持っていくように、「事実」→「解釈」→「解決策」の流れで考えていく。

③優先順位のマトリクス
「緊急で重要なこと」→「緊急でないが重要なこと」→「緊急だが重要でないこと」→「緊急でも重要でもないこと」で優先順位をつける。
特に第二領域「緊急ではないが重要なこと」を大切にする。

④SWOT分析
組織内部の 強み(Strength)と弱み(Weakness)、外部環境にある機会(Opportunity)と脅威(Threat)を検討評価する。

⑤イシューツリー
論点の全体像を漏れなくダブりなく(MECE)に構造化する。上位観念からスタートして問題分析や解決策の検討に使われる。

⑥ピラミッド・ストラクチャ
論拠を積み上げてメッセージを作り上げる。イシューツリーとは逆でボトムアップ型。

⑦3C
顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company) の要素で戦略を考える。これに状況(Circumstance)を加えて4Cとすることもある。

⑧4P
商品(Product)、価格(Price)、チャネル(Place)、販促(Promotion)によるマーケティング方法の分析手法。
これに提携(Partner)、理念(Principle) を加えてブランディングの6P とすることもある。

⑨KSF分析、KBF分析
Key Success Factor で成功要件は何かを分析し、Key Buying Factorとして顧客が買うための要件を分析する。

⑩シナリオ分析
「風が吹けば桶屋が儲かる」式に、ある事実がどのように展開していくか仮説を繋げていく分析手法。

⑪プロコン分析
ある事柄について、メリットとデメリットを対比する分析。

ただし、実際にはフレームワークで簡単に解決できる問題などはない。問題を構造化して全体感をつかむためのテクニックに過ぎない。問題把握から解決策につなげるのは、論理を超えた発想力が必要。

4.問題解決のための「仮説思考」

今ある情報から可能性の高い結論を想定し、検証を繰り返して精度を上げていくのが仮説思考。

仮説思考のトレーニング方法を紹介。

①「本質フォーカス」トレーニング
「その問題の本質は何か」を考えるトレーニング。

②「予測」トレーニング
物語の続きや人の属性など、自分なりの根拠を持ちながら推理していくトレーニング。

③「複数オプション」トレーニング
答えは一つではなく必ず複数あるという前提で考える。一つの仮説が浮かんだら、別の仮説も準備する。

④「ツッコミ力」トレーニング
仮説に対して「それって本当?」と突っ込んで考えていく。

⑤フェルミ推定
把握するのが難しい数字を、ロジックを組み立てて概数として把握する。日本に「電信柱は何本あるか」など。

仮説は実行して検証することで精度を高めていく。PDCA(Plan、Do、Check、Action) サイクルを回していくことが重要。

5.さらにぶっ飛んだ「発想」

創造的に解決するためには「ロジカルシンキング」に加えて「直感」が必要。

直感を鍛えるトレーニングを紹介。

①視点ずらし
時間軸や空間軸をずらして考えてみる。

②立場を変える
「第三者的視点を持った当事者」として取り組む。

③ECRS発想
捨てる(Eliminate)、統合する(Combine)、置き換える(Replace)、簡素化する(Simplify)というアイデア発想プロセス。

④編集力
既存の者同士の斬新な組み合わせを考える。

⑤インサイト・トレーニング
大量の情報を仕入れ、その情報を点ではなく面として流れを捉えることで、情報から「洞察」を得る。

⑥More & More
「もっと面白い案はないのか」「もっと斬新な方法はないのか」と、「もっと」を繰り返し、より強烈なインパクトのある解決策をひねる出す。

⑦WIN-WIN発想
「自分の仕事は問題解決業である」と認識し、相手の問題を解決することが自分の問題解決となる。

⑧差別化思考
自分のサービスを求める顧客はどこにいるのかを考える習慣をつけ、過当競争から抜け出す。

⑨セレンディピティ
偶然の発見を拾うためには、常日頃から問題意識をもって行動することが必要。

6.戦略の「実行」

成果を出すためには「分析」で終わっては意味がない。思考を行動に移していくことが何よりも大切。

実行するための心構えとして以下の項目をあげる。

①危機意識をもって仕事に当たる
うまくいっているのではなく「問題が見えていない」だけなのかもしれない。

②人を巻き込んで動く
人の行動を動機づけるのはロジックではなく「感情」。感情に配慮したアプローチが必要。
ただし感情に配慮するのは実行段階で、ロジックを立てる段階では感情に引きずられてはいけない。
分かりやすいコンセプトを作ったり仮想敵を設定するのも、人を動かすのに有効な手段となる。

③「深く、厳しく、徹底的」にやる
戦略を行動に移すときに大切なのは「徹底的にやる」こと。
やっていることに大差がないのに結果に大差がつくのは「どれだけ徹底してやったか」による。

④仕組み化を意識する
問題は一度解決したら終わりではない。解決策は仕組み化して展開し継続させていく。

⑤ルールを破ることをいとわない
「そういう決まりだから」で思考停止しない。かつてベストの施策だったものでも状況が変われば対策も変えなければならない。

感想

作者が別の本で「英米系のビジネス書は、具体例がしつこ過ぎて読みずらい」と言っていたのには完全に同意する。比べると本書のバランスは素晴らしい。

本書は網羅的で、多くの内容に簡潔な説明をつけているが、それぞれの項目は結構深い。実践に落とそうと思うと深く考えなければならないもので、あっさりした内容とは言えない。

問題解決の入り口として読むのには有益な本だと思う。

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