「Why型思考」が仕事を変える 鋭いアウトプットを出せる人の「頭の使い方」
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要約
目に見えている「何を」に重点を置く「What型思考」と、その背景にある「なぜ」に重点を置く「Why型思考」についての解説。
- What型「そのままくん」とWhy型「なぜなぜくん」の違い
目に見える形のあるもの、形式化された知識、具体的な一つ一つの行動が「What」で、その背景にある目に見えないココロ、理由や背景が「Why」
Whatを重視する人は、物事をそのまま行う「そのままくん」で、Whyを見据え背景から考える人を「なぜなぜくん」の違いが生じている。
- WhyなきWhat病
理由を問わず現象だけみる「WhyなきWhat」の視点がビジネス界でも広く行われている。前例踏襲や目的が明確でない会議などがその典型。
成功や失敗の体験も「その事実だけ」を拾い、その背景にある理由を見なければ、現在では足枷になっている可能性もある。
- Why型思考とは何か
Whatとは「表面事象、手段、結果、カタチ、操り人形」で
Whyとは「本質、目的、原因、ココロ、人形師」
- WhatとWhyに切り分け
身の回りには「What」と「Why」が混在している。そこを切り分けることができれば、世界が変わってみえる。
例えば「朝令暮改」は「Whatレベル」だと「いうことがコロコロ変わる」という不満になるけれど「Whyレベル」の一貫性を保つため、様々なWhatを試しているのだとわかれば、意義が理解できる。逆に状況が変わっているのに「Whatレベル」での一貫性に拘るのは「Whyレベル」がブレているといえる。
- Why型思考のビジネスへの応用
人から言われたことを、そのまま受け取るのではなく、一度「押し返して」その背景にある理由を探る。
例えば「価格が高い」という理由で断られた時、そのまま受け取るだけでなく「営業マンに不満があった、政治的理由があった、など面倒な説明を避け、通りやすい理由をあげただけ」である可能性も考えてみる。
社内でも「Whatレベルの指示」「Whyレベルの伝達」を、発信側・受け側ともに意識することで、コミュニケーションギャップを避けることができる。
- 「そのままくん」を生むWhat型教育
戦後日本は「欧米」という追いつくべきターゲットがあったため「What型」の教育が有効だった。先に行く目標がなくなった今日は自ら進む道を見つけ出していく「Why型」が求められる。
「What型教育」では知識を教えて「育てる」ことができるが、「Why型教育」では、考え方を盗み取って、自主的に「育つ」ことしかできない。
What型教育では、誰でも一定の成果は出せるのに対し、Why型教育では、本人のやる気に依存し、全く成果が出ないケースもある。
- Why型思考の鍛え方
Why型の勉強は「覚えるのでなく考える」
フェルミ推定は良いトレーニングになるが、多くのケースを「覚える」のでなく「考え方」を掴むのがポイント。
天邪鬼に性格悪く「疑ってみる」。「なぜ」という疑問がキーワードになる。
「楽をしたい」という横着さが考えを深めることもある。
「答えがない」状態でいられる強さが必要。
- Why型思考の注意点
状況によっては「What型」が求められることもある。
体育会系的にスピードが求められる上意下達の組織では、御し易い「What型思考」が重宝される。
初心者の段階では、考えず「体で覚える」ステップも必要。掛け算の九九や、スポーツでの基本フォーム習得など。
基本を体に覚え込ませた後で「Why思考」で、自分の持ち味を出せばいい。
全ての人が「Why型」では、社会が成り立たないのも事実。
その人の特性や置かれた状況に合わせ、柔軟に使い分けることも必要。
感想
猿の話が印象深い。
バナナが成っている木に登ると、冷たいシャワーが降ってくる部屋に入れられた猿は、やがて木に登らなくなる。
猿を一部入れ替えても、木登りが危険だと知っている猿は、新入りの猿が木に登るのを止める。
猿を何度か入れ替えて、冷たいシャワーを浴びた経験のある猿が一匹もいなくなっても、「木に登らない」という伝統だけが残った。
多くの「伝統」はこれと同じなのだろう。
環境は変わっていくのに、理由を問わず表面に見える現象だけを見て「前例踏襲」していく。
見えなくなった因果関係を示すこともあるのだろうけれど、主体的に考えていくことも大切だろう。
一方で、直接的な対人関係では「なぜなぜくん」は鬱陶しい。
「○○という商品を注文したい」という要求に「○○が必要なのはどうしてですか?もしかしたら△△のほうがいいかも」とか言ってくる「なぜなぜくん」は出禁にしたい。だまって○○をもってくる「そのままくん」から買いたい。
セールスマンじゃなくても「あなたのためを思って」という態度は傲慢に感じてしまう。理由を考えることは必要だけど、決して押し付けてほしくない。
「リンゴを3個買いました。あと2個買ってきたら何個でしょう?」の答えは「5個」でいい。
内側に向かう思考は「Why型」、対人関係は「What型」が理想。