双蛇密室
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あらすじ
刑事の藍川広重は「蛇に襲われる夢」をみる。
援助交際を生業にしている探偵の上木らいちは、藍川が親から聞いたという「幼少期に蛇に襲われた話」を聞き、親が藍川に隠し事をしているのを見抜いた。
実家に戻った藍川は、両親に真実を問い、両親は過去の話を明かす。
母の誉は、かつて小説家の万場黒太郎と結婚していた。当初は優しかった黒太郎だが、和製「マルキ・ド・サド」と称され、その倒錯した性表現が評判になる2つれ、誉れに対しも暴力的な行為に及ぶようになった。
妊娠した誉は、産婦人科の研修医だった藍川出と出会う。出はアザだらけの誉を心配し、話を聞くうちに徐々に親しくなり、病院外でも会うようになった。
誉が院外で出とあっていることを知った黒太郎は、誉を自宅に軟禁した。
心配した出が、黒太郎の家の周辺を探っていると、敷地から悲鳴が聞こえた。その時、近くにいた雨傘蛇女という女性と一緒に、悲鳴の聞こえたプレハブに入ると、そこで誉と黒太郎が倒れていた。
二人とも蛇に噛まれた跡があった。
黒太郎はすでに死んでおり、誉とその時すでに体内にいた藍川は雨傘が持っていた血清により一命を取り留めた。
プレハブの中に蛇はおらず、雨でぬかるんだ周辺には、人間の足跡も、蛇の通った跡もなく「密室での死」だった。
だがその時訪れた黒太郎の双子の弟、緑太郎の提案で事件は隠蔽され、黒太郎は行方不明として処理されていた。
その後で出は、夫を失った誉に求婚し、二人は平和な暮らしを始めた。
その後、まだ藍川は赤ちゃんの頃、彼は蛇に噛まれた。
自宅の窓から二匹の蛇が侵入し、そのうちの一匹にお腹を噛まれた。救急車で病院に運ばれた藍川は、この時も血清のおかげで助かった。
一連の話を聞いたらいちは、二つの事件の謎を解く。
感想
張り巡らされた伏線と、緻密な論理の積み上げで、「本格ミステリ」として緊張感たっぷりに展開する。
そこから、最後の最後で「はぁ!?」となるオチとの落差がすごい。
『○○○○○○○○殺人事件』では、登場人物全員が「○」で、「○○○」に凶器を隠していたとか驚愕したが、本作も「○〇」が犯人という、おそらく古今東西になかったぶっ飛び方。
好き嫌いが分かれるかもしれないけれど、これはクセになる衝撃だ。