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ナイルに死す

ミステリの皮をかぶった恋愛小説『ナイルに死す』の感想(ネタバレ要素あり)

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アガサ・クリスティーの傑作と名高い『ナイルに死す』を読んだ。

冒頭の会話から巧妙に仕組まれた伏線、隠された「犯行可能時間」など流石の出来だ。

とはいえ、本作の発表から80年以上が経ち、その後さまざまなミステリが斬新な仕掛けを世に出してきた分、さすがに「驚き」はあまりない。完成度は高いけれど「普通」だ。
(そう思うと『アクロイド殺し』の衝撃はすごかったのだが)

それでも色褪せないのは登場人物たちの魅力。
「嘘つき悪女」が大好きな自分にとって、本作のジャックリーンは最高のヒロインだった。

アガサ・クリスティーは『春にして君を離れ』でジョーンという女性主人公を描いているが、彼女は私がかつて読んだ物語の中で最も醜悪で嫌悪感を感じた人物だった。「自分は正しい、自分は相手を理解している」をもとにした行動原理が、吐き気がするほど気持ち悪かった。

対して本作のジャックリーンは実に美しい。
「自分の行動は間違っている。それでも相手のためではなく自分自身のため、こうせざるを得ない」という認識から生まれた行動は、たとえ悲惨な結果になっても、どうしても美しい。

いや、現実世界で「嘘つき女子」は面倒だけど。。

あらすじ

ジャックリーンは、旧友のリネットに、婚約者サイモンを雇ってくれるよう頼んだ。
リネットはサイモンに一目惚れし、結局サイモンはジャックリーンとの婚約を破棄してリネットと結婚した。

リネットとジャックリーンはエジプトに新婚旅行に訪れた。
だが、ジャックリーンはストーカーのように彼らの行く先々に顔を出し二人を不快にさせる。

ナイル川を上る観光船の中、リネットは何者かに銃で撃たれ殺された。
だが明確な動機を持つジャックリーンには鉄壁のアリバイがあり、実行は絶対に不可能だった。

船に乗り合わせた名探偵ポワロは真相を解き明かしていく。











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