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世界最強記憶術 場所法

マインド・パレスを作れ!『世界最強記憶術 場所法』

こちらで購入可能

CPUの代わりにGPUのリソースを活用するみたいなもんだろうか。
日本トップもとった著者が、最強の記憶術というのが、脳内で作った「場所」に「イメージ」を置いていく「場所法」だ。

人間の脳は、単語などの抽象観念を記憶すのは得意ではないが「画像化したイメージ」、「ストーリー」、「空間情報」などには驚異的な記憶力を示す。

数字の羅列など、身の回りで「覚えにくい形」をしているものを「イメージ」に変換すること。そして脳内で「空間的な位置情報に紐付けて覚える」ことで、脳のパフォーマンスを最大限に活用できるのだという。

まあ、競技向けの記憶術で「覚えよう!」という意思を持って、かつ準備をして臨むことが条件だから、日常の様々な場面で活用できるわけではない。
著者の動機も「競技としての記憶術が楽しい」ことで、日常生活に役立てることを目指しているわけではない。

それでも試験など「短期記憶を拡張」したいときには役に立ちそうだ。

要約

  • 記憶は「ワザ」

「生まれ持った特殊な能力」を持った「記憶の天才」も存在するが、ごく普通の人間が、脳の仕組みを利用した再現性のあるメソッドで、後天的に身につけられる「記憶術」もある。

  • 記憶力が上がるといいことがたくさん

ネットでは情報をいつでもどこでも取り出せるようになり、記憶自体の価値は下がったかのようにも見える。
だが、記憶術を身につけることで得られるメリットも大きい。

外部デバイスに頼りきっていると記憶力は落ちてしまう。
自分の頭で記憶する訓練で、記憶力自体が向上する。

様々な情報が「自分の内側」にあることで、情報の化学反応が起こり新たな発想につながる。

そして「覚えること自体が楽しくなる」こともメリットだといえる。

  • ストーリー法

覚えたいものの羅列を順番通りに頭の中でストーリーに仕立て、お話ごと覚えてしまうという記憶術。
例えば「ボール・教科書・釘・氷・ネックレス」の5つを覚えるのに
「ボールの絵が表紙になっている教科書が、釘で壁に打ち付けられている。その釘に氷でできたネックレスがかけられた」
などというように。

単語だけでは覚えにくくても、ストーリーとしてイメージすると定着しやすい。

  • 場所法

①心の中に「覚えるものを置くための場所」を作る。自宅など馴染みのある場所がいい。
②そこに例えば10箇所のポイントを設け、辿る順番を決めておく。
③そこに覚えたいもののイメージを置いていく。

シンプルな例として
飲み会のテーブルで右横と正面に座っていた人をイメージする。
「りんご」と「サメ」を覚えるため、
まず正面の人の手のひらの上に急に「りんご」が現れた様子をイメージし
次に右隣の人の頭を「サメ」が噛み砕いている様子をイメージする。

イメージは鮮烈であるほど心に残るので、りんごを極端に大きくしてみたり、サメを何千匹も登場させたり、極端にしてしまうのがいい。
抽象観念の場合、それを想起させる具体的なものをイメージする。

いくつかの「場所」を持っていると多くのものを記憶することができる。

  • 数字→イメージへの変換

数字を覚える機会は多いが、それ自体は無味乾燥でイメージを伴わない。
自分なりに「数字をイメージに変換」しておくことで記憶に助けになる。

例えば数字の歌を使って
0:月
1:煙突
2:アヒル
3:耳
4:弓矢
5:鍵
6:たぬき
7:ラッパ
8:だるま
9:おたまじゃくし
など。イメージは自分に合ったものを作ればいい。

このイメージを使い、ストーリー法、場所法で記憶していく。

  • 顔と名前を一致させる「タグ付け法」

大量のものを順番通り覚えるときは、ストーリー法や場所法が適しているが「名前と顔を一対一で対応させる」ようなタイプでは「タグ付け法」が適している。

顔の印象を一言で言い表し
名前に無理やりイメージをつけ
顔の印象と名前のイメージを結びつける。

例えば「歯の白い佐藤さん」を覚えるのに
「砂糖を食べないから虫歯のない佐藤さん」とか。強引だけど。

  • 日常生活や試験勉強への応用

クレジットカードの番号や銀行の口座番号など「数字」で覚えるべき項目は多い。
十数桁をストーリー法で覚えると膨大になってしまうし、場所法を使うと長期記憶に定着するまでその場所を占有されてしまう。
銀行用、クレジットカード用など、専用の場所を設けて置くのが良い。

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