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黒牢城

黒牢城

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神の罰より主君の罰を畏るべし
主君の罰より臣下百姓の罰を畏るべし

『王とサーカス』とか、米澤穂信さんは史実に絡めたミステリに傑作が多い気がします。

今回は「戦国 × ミステリ」という新しい切り口で、「密室」や「アリバイ」など一般的なミステリ要素と、「荒木村重が一国一城を捨て生き延びる道を選んだのは何故か」という歴史ミステリの要素が重ね合わさっています。

もちろんフィクションではあるのですが、知略と武勇で上り詰めた荒木村重と黒田官兵衛の対峙にやけにリアリティがあって、グイッと引き込まれました。

あらすじ

戦国時代、織田信長に反旗を翻した武将荒木村重と彼に囚われた黒田官兵衛が主人公。

「殺しすぎる織田」とは違うやり方を求めた村重は、織田方として交渉に来た黒田官兵衛を殺さず牢に閉じ込める。城内で起きた事件を牢の中の官兵衛が解く「戦国安楽椅子探偵ミステリ」

第1章「雪夜灯籠」
戦国では裏切られれば人質を殺すのが常だった。だが村重は「殺しすぎる信長」への対抗心から人質の少年を殺さぬよう指示した。
しかし少年は「雪に囲まれた密室」で殺されてしまう。
自らの命令の重みが失われることを恐れ、村重は牢の中の官兵衛に知恵を求めた。

第2章「花影手柄」

村重たちは攻め込んできた敵を撃退した。
だが誰も敵将の顔を知らず、どれがその首なのか、誰が討ち取ったのか分からない。
配下の武将たちのパワーバランスを崩さぬよう村重は腐心する。

第3章「遠来念仏」

村重は、各国を巡り歩く僧の無辺に信長との和睦を申し出る密書と貴重な茶壺を託した。
だが、無辺は城内で何者かに殺されてしまう。

第4章「落日孤影」

無辺殺しの容疑を受けた者が、衆人環視の中で落雷を受け死んでしまう。
だが落雷の直前に彼を銃で狙い外していた人間がいたことが判明した。
誰が何のために犯人を狙撃しようとしたのか。

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