神菜、頭をよくしてあげよう
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音楽の目的は力関係を強大化させていくことではない。
100万人の前でも10人の前でも、誇りをもって、自分の作り出す音を楽しむ、ただそのこと一つではないだろうか。
あらすじ
筋肉少女帯を解散し再結成する前、2000年代前半の話が中心。
その頃のバンド「特撮」の活動や、サブカル界隈の交友記、マニアックな映画や音楽、オカルト話など、力の抜けた、でもしっかりとした文体で、ガッツリ笑わせに来るエッセイ。
いくつか抜き出すと、、
・池田貴族との話
癌治療中の池田貴族さんと居酒屋で食事をしていたとき、「お持ち帰りOK」そうな女子がいたが池田貴族さんに遠慮してしまった。後日その話を聞いた池田貴族は「そりゃ行かなきゃダメだよ。俺は身体もボロボロ。もうじき死ぬかもしれない。生きている奴が俺の分も徹底的に遊んでくれなきゃダメじゃん」とたしなめられたそう。。
・ポルシェを買った話
親近感を覚えるような小説を書く分、どうも上から目線で見られがち。「ポルシェを買って見返してやる!!」という自分の子供っぽさを笑うお話。
・マジックマッシュルーム
タイで食べた「マジックマッシュルーム入りオムレツ」で天国を味わい、その後ひどいバッドトリップを経験する。帰国便でパニック障害を味わい、以来長年に渡ってPTDSに苦しめられた。マジックマッシュルームはやめとけ、という話。
・「プチ悲惨」がいい、という話
葉山の海岸でのライブで、大雨にたたられる。散々な目に合うが、これくらいの「プチ悲惨」は人生の密度を上げてくれる。平凡で順調なだけの人生よりちょっと悲惨なことが紛れてるくらいの方がいいじゃん、という話。
・ゴスロリの少女との話
東北でのライブで、当時はまだ一般的ではないゴスロリの少女を見て声をかける。
「君さ・・・ そのかっこう、何て言うの?」
「私は、好きなかっこうをしているだけ、好きな服をきているだけだよ」
「いいね、いいよ。それが一番だよ。じゃ、またいつか」
大槻氏よりもロックな少女の話。
感想
著者の好きな言葉として「行雲流水」を紹介している。「のほほん」と読むらしい。大槻氏のイメージそのものの言葉で、私もそうなりたいと憧れる。
自分の好きなことをとことん楽しみ、自分の愛することを誰かに伝えていく。自分で自分を客観的に見る。評価軸を他人に委ねない。
格好いいなぁ。。