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郵便配達人 花木瞳子が顧り見る

郵便配達人 花木瞳子が顧り見る

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めちゃくちゃ怖い。。

でも、途中から物語の見え方が変わってきます。

あらすじ

郵便配達人の花木瞳子は「サンタさん」に宛てられた配達不能郵便を見付ける。

郵便局内で配達不能郵便の処を担当になった夏生は「サンタさん」宛ての手紙が十数年前から継続的に送られていることに気づく。内容確認のため中身を確認すると、どれもサンタさんに「おとうさんをください」という内容だった。

瞳子は浮気相手と心中したという父を未だに許せずにいたが、周囲にせっつかれ墓参りに行く。そこで瞳子は父親の墓だけが異常なまでに綺麗に掃除されていることに気づく。実家に戻り父親が遺した「遺書」のような手紙を見付け、改めてその身勝手さに憤った。

サンタ宛ての手紙の異常性に驚いた夏生は上司に調査を依頼するが、事件が起きているわけでもないのにツッコむことはできないと一蹴される。夏生が手紙を持ち帰り図書館で調べていると、幼くちぐはぐな格好をした年齢不詳の女性に「おとうさん、みつけた」とロックオンされる。。

感想・考察

「郵便配達人 花木瞳子 シリーズ」の第3弾。過去2作を上回る素晴らしさ。

サンタさんに送られた手紙の不気味さが圧倒的で、絶望感すら感じる。また途中で明かされる「仕掛け」で、世界の見え方が鮮やかに変わる。

「妻と娘を置いて浮気相手と心中してしまう無責任な父親の遺書」と思われた手紙は「妻と娘を守るための戦いの決意」を示す手紙だった。

 「語られた言葉」だけで全てを理解することはできない。背景となる物語に自分から突っ込んでいかないと、相手の本当の思いに辿り着くことはできない。

「もう少し相手に踏み込んで行く勇気を持とう」と思わされる話だった。

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