広告コピーってこう書くんだ!読本
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「強い普遍」は「平凡」そばにある。
広い間口から入っても、思考や仕上げを徹底的に深く追求するから「強い普遍」を作れる。
要約
広告コピーに限らず「言葉で人を動かす」ことを教えてくれる。人を動かす文章を書きたい人におススメの本だ。
面白いエピソードだと感じたのは、著者が手掛けたJR東海の「消えたかに道楽」キャンペーンでの「言いたいことを言わせる戦略」だ。
大阪道頓堀のかに道楽から「カニ看板」を外してしまい「JR東海CM出演中」と張り出した。ここで大阪人は「大阪はシャレの分かるオモロイ街や」とか「大阪商人はしっかりしとるわ」と言い評判が広がった。
大阪が「面白い」とか「しっかりしている」というのは、もともと思っていたことで、きっかけがあれば言いたいことだった。その背中を押すような広告だったから広がっていったと考えている。
「書き手の視点ではなく読み手の視点で考えること」。「情報の流通を意識すること」の好例だ。
また、刺さるコピーのポイントとして「常識以上 芸術未満」であることを挙げている。
たとえば「豆腐が白い」は当たり前すぎてインパクトがない。「この豆腐の白さは現代社会の不安を表象している」とかいうと訳が分からない。その間くらい、例えば「豆腐はたんぱく質が豊富な畑のステーキ」くらいであれば、当たり前じゃないけど分からなくもない。
「知っているけれど気にしていないことを、インパクトのある言い回しで意識に上げさせる」のが、ちょうどよい広告コピーだとする。
もうひとつ、全編にわたって著者が強調しているポイントとして、自分の発想や感覚を分析することを挙げている。
「なんかいいよね」という感覚的なレベルでは再現性を持たせることはできない。ある程度の水準以上のものを出し続けるためには「なぜそう感じたのか、なぜこれが良いと思うのか」を分析し考える必要がある。
感想・考察
とても分かりやすい。
著者は自分を「感性というガソリンは人並み以下だが、それを効率よく動かすエンジンである理論は、徹底して追求してきた」という。天才型ではなく努力型だと自分を規定しているのだろう。
「100本のコピーを書いて選ぶ」とか「感じたことを分析して再現性を持たせる」という、どちらかというと泥臭い戦い方を示している。
キレイな戦い方よりも、こういう地に足の着いたやり方に、親しみを感じる。
自分は天才型じゃないし努力も好きじゃないんだけど。。。