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勝間式 超コントロール思考

この社会にあるすべてのことは、人間が設計し、管理し、決めていることです。人間が決めていることで根本的に変えられないものなど、実はほとんどないのです。『勝間式 超コントロール思考』

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要約

あなたが不安や不満を抱えているのは「自分で自分の人生をコントロールしている」という自己効力感がないからかもしれない。
勝間和代氏が 「自分が主役となって主体的に生きる」ための方法を説明する。

なぜ「超コントロール思考」が必要なのか

自分が影響を与えることができること=自分がコントロールできることを増やしていくことが、主体的な生き方につながる。

やらされ感のある仕事で成果を出すことはできない。「嫌な仕事、苦手な仕事を我慢する癖は無くす」ことが重要。
不得意なことに力を入れるべきではない。(不得意なことが得意なことを活かすことのボトルネックになっている場合は例外)

組織の中であってもコントロールは可能。どのような仕事を引き受けるかを意識していけば、すぐには難しくても徐々にコントロールの幅を増やしていくことはできる。仕事のパフォーマンスを上げるのは「努力」ではなく「コントロール」

プライベートの人間関係もコントロールすべき。信頼している相手にはそのことをきちんと示し、不快だと思っている相手には要望を伝えた上で、ダメであれば静かに距離を撮ることが必要。
不快な人にリソースを使いすぎる人が多い。

アルコールやギャンブルなど、依存症を引き起こしコントロールを失う可能性がある者は、最初から生活から遠ざけることが大事。

コントロール力は鍛えることができる。できるだけ選択肢を広げる努力をし、正しい判断をするための知識を身に付けることが必要。

反対に、自分の行動に意味がないと繰り返し感じることで「学習製無気力」に陥るのが一番怖い。「能力がない」と諦めてしまうことは一番簡単な「逃げ」で、コントロール能力を形成する土台を失ってしまう。

仕事をコントロールする

組織の中で若いうちから裁量権を得るのは難しい。だが「コントロールを得る」ことを意識することで、年単位で裁量権を広げていくことはできる。

コントロールのためには「余裕率」が重要。切羽詰まると仕事にコントロールされてしまう。3割くらいの余裕を持つようにすべき。

自分がやらなければいけないことを、毎日数秒でも減らしていく努力が必要。IT機器の活用、周囲の人間からの情報の活用、快適な環境の整備などに取り組むべき。
移動時間を減らす工夫も大事だし、できるだけ時間をコントロールできる手段を選ぶべき。公共交通機関が時間的にも正確で無駄がない。移動が必要な場合でも荷物を減らしたり、移動時間を有効に使えるような工夫が必要。
集中力が高まる時間を知り、そこに合わせてスケジュールを調整するのも効果が高い。

お金をコントロールする

収入の8割以内で生活するのが前提。ここでも2割から3割の余裕率が大事。

収入から天引きして積み立てるのが効率的。「ドルコスト平均法ファンド」は手数料が安く証券会社は売り込んでこないが、リスクに強く有利だと勝間氏は考えている。
現金は利用履歴が残らないので、クレジットカードや電子マネーで履歴を残す習慣を身に付けるべき。
無意味な外食など惰性で使っている「冗費」を削減すべき。また見栄のための「地位財」は大きな無駄。
最新テクノロジーは、導入に初期費用が掛かっても変動費を下げることができれば進めるべき。

健康をコントロールする

健康は「幸せの土台」といえる最重要事項であり、自分でコントロールしやすい。

ただ「自分の意志」に任せるとろくなことにならないので「意志を必要とする環境を作らない」ことが大事。アルコールをコントロールする必要があるなら、家に酒を置かない、飲み会に行ったらお酒を飲まないことを宣言するなど。

肥満予防は、余計なカロリー摂取をさけ、適度な運動をすることも重要だが、「運動以外の日常的な活動」を増やすことが鍵。家事などでこまめに動く習慣を付けると太らない。

また治療よりも予防に重点を置くべき。いったん失った健康は取り戻すのが難しいし、コスト的も予防段階の方が安く済む。

食べるものの中に「悪いものを入れない」ためには、自分でコントロールできる自炊がオススメ。

人間関係をコントロールする

コントロールの対象は相手ではなく自分。
まずは自分の余裕がある限り相手に与え、相手から返してもらうことを期待するのではなく「まわりまわって返ってくればいい」と考える。

相手が「快適か不快か」を感じるセンサーを信用する。相手をコントロールすることはできないが、どの人と付き合うかはコントロールできる。
基本的には誰に対しても利他性をもって接し、相手が搾取する人だと気付いた時点でその人を遠ざける。

怒ることもコントロールすべき。
「怒るべきことは怒ってもいい。怒るべきでないことには怒ってはいけない。どちらでもよいときは怒らないようにしよう」
ここでも余裕を持つことが大事。z

「ねたみ」も良いことを生まない。見えない部分で努力をしているのかもしれないし、羨ましければそこから何かを学び取ればいい。

緩い大人数のコミュニティーは、怒りやねたみが目立ちにくくコントロールしやすい。ブログやSNSなどは繋がり方をコントロールする道具となり得る。

家事をコントロールする

仕事の目的は生活の充実で、その逆ではない。
家事は生活の質を大きく左右する。

家事はためずに、その都度完結させる。
最新尾調理家電や自動掃除機、スマートスピーカーなどを導入し、できるところは徹底化して省力化する。

娯楽をコントロールする

遊ばないと脳は硬くなる。

時間とお金に余裕があると人と接するには、ゴルフがオススメ。
VRを使ったゲーム、Kindleの読み上げ機能を使った歩きながらの読書、共同出資による船のシェアリングなどを紹介。

感想・考察

自分の人生を自分でコントロールできるという感覚は大事だと思う。
誰かにコントロールされている、自分の自由にならない感じが一番気持ち悪い。

読者のすべてに勝間氏の選択は自分の環境に当てはまるわけではないだろうが「迷ったらコントロールできる方」を選ぶという選択基準は取り入れていきたいと思う。
「お仕着せの iPhoneより、カスタマイズ余地のあるアンドロイド」だとか「外食より材料をコントロールできる自炊」だとか、選択基準を「コントロールの有無」に置いているのが良く分かる。

だれかに自分のコントロールを渡してしまったら、自分で生きていることにはならない。
まあ、iPhoneは使うけど。

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