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人生を面白くする 本物の教養

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要約

  •  教養とは何か

・「教養とは、人生でワクワクすることを増やすためのツール」だと定義する。

・「知識」は「教養」のための手段で目的ではない。ただ教養のために幅広い知識は必要不可欠。自分の頭で考えるには安直な答えを求めず「腑に落ちる」という感覚が重要。

・考えるときに「反対のための反対」には陥らないよう注意をすべき。個別には最適でなくても全体として安定するということもある。「人間社会とは、いびつな欠片が集まって一つの安定状態を形成するもの」だ。

  • 日本のリーダー層は勉強が足りない

・世界のトップリーダーと比べ日本のビジネスリーダーには教養が不足していると著者は感じている。

・「この人と仕事をすると面白そうだ」と思ってもらえることが大事。そのためには「自分の専門分野について深い知識を持つ」のは当然として「幅広くある程度深い知識」を持つことも必要。また「自分の考え」を持ち、表明することも不可欠。

・第二次世界大戦後、日本は特異的に恵まれた環境にあった。指導層が40代くらいまで若返り、人口増加が続き、冷戦の枠組みに守られ、アメリカという具体的な手本があった。その環境では「自分で考える」よりも手本に従う方が成果を出すことができた。今、高齢化が進み、人口は減少局面となり、冷戦構造は変わり周辺国との関係が複雑化し、世界に明確な手本がなくなって、自分で考えることが重要になっている。

  • 出口流・知的生産の方法

・「タテ=時間軸」と「ヨコ=空間軸」を広げる。歴史に学び他国に学ぶ。

・「国語でなく算数」で考える。データを基にした定量的な判断が重要。

・「数字・ファクト・ロジック」で考える。定量的なデータ、現実の状況から論理的に結果を導き出す。

・「本質はシンプルなロジック」枝葉に囚われず全体を見る。

・「常識を疑う」疑わなければ政府も企業も自分に有利な恣意的な情報を流す。

・機密情報より「考える力」公開情報だけでも相当の推論を立てられる。

・「自分の行動をルール化」いちいち判断しないことで効率化。

・「他人を巻き込む」周囲に宣言するなど人を巻き込んだ仕掛け作りが有効。

  • 本を読む

・分からない部分は読み返すことで理解が深まる。

・最初の5ページで面白くなければ読まない。

・速読は百害あって一利なし。前提となる知識があれば速くなるが、単純に文字を追うスピードを上げても意味はない。

・新しい分野を勉強するときは「分厚い本」から入り、後から入門書などを読むと「点の理解」が「面の理解」に繋がる。最初に入門書を読むと「分かった気」になる弊害がある。

・ベストセラーより書評を活用。特に新聞書評はレベルが高い。

・時間をかけて選別された古典作品は無条件で優れていると考える。

・仕事上で必要な本など「読まないという選択肢がない」ならさっさと読む。

  • 人に会う

・ 誰と付き合うかの基準は「面白いかどうか」、相手を実利をもたらす「人脈」として考えていれば相手からもそう捉えられる。

・一方で必要のない熱き愛は最低限に抑える。

・本は歴史上の「人」と出会い。過去を学び現在に活かすことができる。

・古今東西で「政治体制が違っていても、人の暮らしに必要なものは変わらない。温かい家と食事、そして心を許せる友だち」という言葉を引用。 

  • 旅に出る

・ 旅は楽しい遊びであり、教養の源。世界の美術館巡りなど著者の旅行の話。

  • 教養としての時事問題-国内

 ・「民主主義・お金・税と社会保障」の知識は不可欠。

・「財産三分法」手取りを消費、投資、貯蓄の3つに分ける。

・「公的年金の崩壊」それでも民間よりはまし。

・「小負担・中給付」モデルは維持できない。給付か負担を変える必要がある。人口減という現実を見る必要がある。増税+若い世代への補助、消費税の増加と100%の相続税など。

・少子化への歯止めは最優先課題。出産が男女とも雇用に影響させないように多大な投資をしたフランスが手本になる。

  • 教養としての時事問題-海外

 ・TPPでは枝葉の問題にこだわる様子が見えた。全体としてGDPが増える点では一致していても、具体的な施策の部分で反対する勢力があった。

・近隣諸国との領土争いは不利益が多い。「国固有の領土」という考え方は世界で一般的ではない。話し合いでの解決が一般的で、噛み合わない場合は実効支配を是認というのが現実的。

・ 地球温暖化は人類の英知が問われる問題。

  • 英語はあなたの人生を変える

 ・仕事で使わないという考え方は井の中の蛙。仕事上で直接使わないにしても、WEBでの情報収集などで格段の差が生じる。

・英語力は効いて話すだけではない。言葉だけでなく「テーマ」をシェアできているかというのも重要。

・英語は度胸。上手になったら話すのではなく、話すから上手になる。

  • 自分の頭で考える生き方

 ・仕事はどうでもいいもの。人生の中で仕事に充てる時間はそれほど多くはない。自分の生活をまず優先させるべきだし、仕事上もその方がプラスになる。仕事上の役割はあくまで「機能」に過ぎず代替可能。

・人はそもそも「人のためという志」を持っている。「仕事が生きがい」というひとも仕事を通して何らかの社会的使命を果たしたいという思いがある。 

感想・考察

「教養」を持つことは「人生を豊かにする」ための手段だ。多くのことを知っていれば、もっとワクワクすることができる。知識を教養に昇華していきたいと思う。

出口氏は日本トップリーダーの教養レベルの低さを嘆いている。世界のトップリーダーと比較するとその通りなのだとは思うが、「世界の普通レベル」は、「まあ日本と大差ないなぁ」と感じている。世界は狭くなっている。臆することなく関わっていけばいいのだと思う。

英語の必要性は間違いない。私自身海外での暮らしが長いが、狭義の「英語力」だけでは話せるようにならないという点も出口氏の意見に賛同する。Google翻訳が進歩しても、中々追いつけないのは「背景となる知識の共有」の部分だろうし、そこが「教養」ということなのだろう。

出口氏のように「美術館巡り」をする必要はないのだろうが、その人なりの「文化的な深み」が必要なのだとも思う。

頑張って勉強しようという気持ちにさせてくれる本だった。 

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