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複業の教科書

会社に委ねていた人生を、自分の手に取り戻せ!『複業の教科書』

こちらで購入可能

要約

「会社に委ねていた人生を、自分の手に取り戻すため」複業を勧める。

一つの会社では生き残れない時代の到来
高度成長期には終身雇用と年功賃金で「一つの会社で勤め上げる」のが有利だったが、会社側に余力がなくなってきた。
国が示す「モデル就業規則」でも副業を認めるようになっており、副業解禁する大手企業も増えてきている。
今後も複業推進が進んでいくのは間違いない。

あなたの人生を取り戻す「複業」という選択
転職や起業と比べると、本業を維持しながら行う複業はリスクが低い。
本書でいう「複業」は、経験やスキルを蓄積することで本業との相乗効果を目指すもの。本業のサブ的な位置づけで、小遣い稼ぎ目的である「副業」とは区別して使っている。

本業を別に持っているからこそ、本当にやりたい「Will」を時間をかけて追及できるし、お金だけでなく「経験」や「信頼」といった無形資産を得ることができるというメリットもある。

複業を始めるためのステップ
ステップ0
「なぜやるか」を明確にする。

ステップ1「見立てる」
自分の強みを棚卸して、何をするかを設計する。
3M分析で 自分を知り(Myself)、市場を知り(Market)、お金稼ぎを知る(Monetization)。
自分を知るには「ライフラインチャート」で、人生の時期ごとの幸福度を線グラフ化し、自分は何に幸せを感じるのかを理解するのが有効。
市場については「これから何が伸びていくのか」を見極めることが必要。
マネタイズは、副業系のプラットフォームを調べ、ユーザの多いものを選ぶべき。ただ尖った強みがあれば、少数ユーザに遡及するだけでもビジネスは成り立つ。

ステップ2「仕立てる」
周囲のニーズを聞き、解決することから始める。
プロブレム・ソリューション・フィット(PSF)の考え方で、解決すべき課題と自分の提供できる解決策が合致しているのかを検証する。

ステップ3「動かす」
リーンスタートアップの考え方で「最低限機能する試作品」を使い、効果測定を高速で繰り返して、動かしながら完成品に近づけていく。

複業の5つのコツ
1.複業は身近で小さな一歩から始める
本業があるなら、その中でできる小さな情報発信などで十分。そこからやりたいことへ繋げていく。

2.「無理なくできること」に特化する
時間や費用など「ここまでしかつぎ込まない」という限度を決めて置く。

3.自分のハンディキャップからできることを考える
時間などの制約条件から逆算して自分ができることを考えていく。

4.自分の強みで「キャリアタグ」を作る
複業を通して周囲に自分の強みを浸透させ、キャリアタグを作る。

5.半径5mのニーズを聞く
近くの人のニーズを探り、目の前の死後を工夫することが複業に繋がる。

複業失敗の3パターン
1.簡単にお金が稼げます詐欺
「楽して稼ぎたい」が動機だと危ない。情報商材詐欺が多い。

2.複業で後ろ指を指されてしまう
複業をすることで本業が疎かになると本業のモチベーションが失われてしまう。複業で得られた価値を本業に還元できるようにするべき。

3.オーバーワーク
「とにかく頑張る!」という考え方では生活が破綻してしまう。時間制限などリミットを設けておく必要がある。

複業を成功させる5カ条
1.先義後利
目先の利益に走らず「信用を貯めること」を重視する。

2.本業専念
本業を犠牲にして複業をしてはいけない。本業と複業の相乗効果を狙う。

3.公明正大
複業を秘密にすると周囲の疑心を呼んでしまう。積極的に開示する。

4.自己管理
複業にはマネージャはいない。睡眠時間なども自分で管理する。

5.他者配慮
家族や同僚などへの感謝とリスペクトを忘れない。

感想・考察

人の寿命は長くなっている。そして企業に余力がなくなっている。
新卒から定年退職まで一社に勤めあげるのが合理的でなくなっているのは間違いない。
「個人は組織に縛られず、好きなことで活躍できるようになるべきだ」という考え方には大賛成だ。

一方で「会社組織では難しいことが個人であればうまくいく」というのも楽観的過ぎると思う。長年の経験や大勢の英知を集めた企業でも新たな価値の生み出すのに苦労しているなか、「個人」であることが有利な場面がそれほど多いとは思えない。

そういう意味でいうと、企業で働きリスクをヘッジしながら、やりたいことに取り組み、企業への依存度を少しずつ下げながら自分の強みを磨いていく「複業」は「うまい選択」だと思う。

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