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涼宮ハルヒの陰謀

涼宮ハルヒの陰謀

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あらすじ

涼宮ハルヒシリーズ第7弾。
今回は年明け2月のエピソードを描く長編。

2月に入り涼宮ハルヒの様子が少しおかしい。
節分の「豆まき+恵方巻」など、イベントを楽しむのはいつも通りだが、授業中にふと考え込むような態度を見せていた。

節分の数日後、キョンが部室に入ると掃除用具ロッカーに「8日後から来た朝日奈みくる」がいた。

朝日奈は「キョンの指示で、8日前に戻ってきた」というが、その時点のキョンにはその理由もすべきことも分かっていなかった。

いずれにせよ「現在の朝日奈」と「8日後の朝日奈」を会わせるわけにいかず、長門有希に説明して「8日後の朝日奈」を預かってもらった。

翌日、キョンが登校すると下駄箱に、大人になった「未来の朝日奈」からの指令が届いていた。場所と時間を指定し、「8日後の朝日奈」と一緒にあるものを置けという。
キョンも朝日奈も理由が分からないまま指示に従った。

長門の部屋には居づらいと感じた「8日後の朝日奈」は、鶴屋さんの家に泊めてもらうこととした。朝日奈みくるの双子の妹 だという、やや無茶のある設定も気にせず、鶴屋は彼女を歓迎した。

その後も、キョンは「未来の朝日奈」から
*山にある特定の石を数メートル動かせ
*落ちているメモリを拾って指定した住所に送れ
*亀を川に流せ
という、指示を受け「8日後の朝日奈」と一緒に意味が分からないまま粛々とこなしていった。

その頃ハルヒは、山で宝探しをしてはしゃいだり、少しずつ元気を取り戻しているようだったが、それでもどこか普段と違う様子は消えなかった。

「未来の朝日奈」の指示をこなしたキョンは「8日後の朝日奈」を元の時間に戻す。

「8日後の朝日奈」が戻るまでの2日間、ハルヒたちSOS団の女性陣は、キョンと古泉に、再びの「宝探し」を命じた。

感想

今作は「朝比奈みくる回」だ。
前作『涼宮ハルヒの動揺』最終話の『朝比奈みくるの憂鬱』から引き続いて、未来からの干渉が物語の主軸になる。

「未来の朝日奈」、「8日後の朝日奈」、「現在の朝日奈」が絡んで、伏線を読み解くタイムトラベルSFとして面白い。

同時にキャラクタの内面描写も深化している。
ハルヒの「陰謀」は可愛らしいし、
シニカルだったキョンが「熱い仲間意識」を持つのは嬉しいし、
未来の朝日奈は「これから彼女に降りかかるドラマ」を予感させるし、
古泉の「軽薄を装う知性」がカッコよく見えてくるし、
長門の「言葉少ない感情表現」には萌え死にそうだ。

やっぱり面白いなぁ。
数年ぶりに最新刊が出たようなので、既刊分が Kindle Unlimited読み放題対象になっているうちに読んでしまおう。


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