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天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

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要約

自分の才能を見極め活かす方法を、ファンタジー風の物語に乗せて解説していく。

  • 才能とはなにか
    才能の種類を3つに分類し、それぞれの特徴を語る。

人の才能を以下の3つに分類する。
天才:独創的な創造性
秀才:論理的な再現性
凡人:空気を読む共感力


天才は秀才の再現性に興味はなく、凡人の理解を欲している。
秀才は凡人を見下し、天才へは妬みと称賛を持っている。
凡人は天才を理解できず、秀才を天才と勘違いしている。

凡人は共感力が強いため「数」を集める。「人数の差」が「力の差」に繋がり、凡人が天才を殺すことにもなる。

秀才はビジネスの仕組み構築などプロセスで評価できるし、凡人は他人に広める力で売上につなげることができる。天才の活動は新しいビジネスを生み出すが、形になる前の段階ではその意義を適切に評価する基準は存在していない。

ビジネスにおいて、最初は、天才の独創的なアイデアがビジネスを引っ張る原動力になる。だが、規模が拡大し多数決による意思決定が行われるようになると、「変わりたくない」共感力の強い凡人にひっぱられ、説明能力の高い秀才が主導権を取るようになる。

  • 相反する才能
    それぞれの才能の対立関係、実社会での状況を解説する。

天才・秀才・凡人の相反する才能を繋ぐ人たちがいる。

天才と秀才の間をつなぐ「エリートスーパーマン」は、高い創造性と論理性を兼ね備えている。共感力が弱くサイコパス気味だが、成果を出す。

秀才と凡人の間をつなぐのは「最強の実行者」。論理的な再現性と共感性を持ち、火との間をつなぎ引っ張る。仕事ができる人。

凡人と天才の橋渡しとなるのは「病める天才」。創造性を持ちながら、それが世の中にどう受け取られるかまで理解する。

天才・秀才・凡人のコミュニケーションでは「主語の違い」が壁になる。

凡人は「人」主体で語る。
「私がどうしたいか」が軸になる I タイプ
「あの人はどう思うか」が軸になるY タイプ
「家族や仲間」が大事な W タイプ、に分かれる。

天才は「世界や心理」などを軸に語る。
世界の「存在」に関心を持つ X タイプ
人間の「認識」に関心を持つ Y タイプ、に分かれる。

秀才はルールなど「善悪」で語る。
「知識」を主軸に語るK タイプ、
「善悪」によって語る R タイプ、に分かれる。


  • 武器を選び戦う
    大多数の「凡人」向けに、その才能を活かした戦い方を説く。

天才は孤独になりがち。
天才にとって、その理解してくれる共感力の高い凡人が必要。

凡人の最大の武器は「言葉」
「便利な言葉」ではなく「自分の言葉」が心を揺さぶる。

誰の中にも、それぞれ比率は異なるが、創造性・再現性・共感性 がある。「自分の中の天才」を「自分の中の凡人や秀才」が殺さないようにするべき。

感想

「才能」をバリューチェーンの側面から見たビジネス論。

新しいものを生み出す「天才」の創造性は、再現性あるサイエンスを駆使する「秀才」に形にされ、共感力の高い「凡人」によって広められる。

それぞれの才能が持つ「強み・弱み」を分析し、お互いが衝突するポイントを抜き出し、それぞれの戦い方を提言する。

また、対人関係だけでなく、一人の個人の中にも 3つの才能 が一定比率で存在しているとして、個人の才能マネジメントにも言及している。

モデルケースを使った「ビジネスフィクション」としての面白さ、『夢をかなえるゾウ』的な威圧感のない対話形式で、わりと硬いテーマを面白く読ませる作品だった。



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