運命の湯/運命の人はどこですか?
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あらすじ
谷岡ジュリエットは、両親が「ロミオとジュリエット」をみて感動してつけたという、癖の強い名前に苦労していた。
大学生になるころには、ジュリエットも名前との付き合い方を覚えたが、一方で「ロミオ」との運命的な出会いを待ち望むようにもなっていた。
ジュリエットには渋い趣味もあった。
なんの変哲のない近所の銭湯「みちのく湯」を愛好していた。温泉も出ないしスーパー銭湯みたいに施設が充実しているわけでもないが、ゆったり身体をやすめられる広い湯船も、番台のおじいさんのさりげない気遣いも、大好きだった。
ジュリエットはネットのコミュニティサイトに「ロミオを探してます」と登校した。出会い目的の反応は大量にきたが、どれも本物のロミオではなかった。
気疲れしたジュリエットは、地元ミニコミ誌の掲示板コーナーに「ロミオ探してます」と投稿し、一緒にいつも客のすくない「みちのく湯」を「私のお勧めの店」コーナーに投稿した。
2つの投稿が、小さな奇跡を起こす。
感想
さらりとしたいい話。
瀬尾まいこさんの作品は、だいたい登場人物全員が優しい。
「運命の人さがし」という恋愛アンソロジーの企画らしいが、ラブラブした話ではない。がっつりした恋愛ストーリーだと胸焼けする自分にはちょうどいい。
うつろい行く時の流れの諸行無常な切なさと、その中で人と人との繋がりが生み出す小さな奇跡が感動的です。
最近、好きな作家さんです。
もっと、いろいろ読んでみよう。