神様たちのいるところ/運命の人はどこですか?
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あらすじ
恋愛アンソロジー「運命の人はどこですか?」の収録作品。
旅行会社で働く里奈はギリシアのアテネに来ていた。
1週間前に急に決めた旅行で、家族や会社の関係者を驚かせたが、里奈には理由があった。
大学時代、里奈は当時の恋人和真と約束をしていた。
「もし別れてしまったとしても、里奈の30歳の誕生日にお互いが独身でフリーだったら、パルテノン神殿で会おう」と。
結局、二人は大学卒業後別れてしまったが、2年ほど前、友人の結婚式で再会した。お互い、付き合っている相手はいたが「恋人はいるけれど。。。」と言葉を濁し、微妙な関係を維持していた。
誕生日当日、里奈はパルテノン神殿を眺められるフィロパポスの丘に登った。
感想
誰も迎えに来なかったパルテノン神殿で、里奈はいう。
ダメなのだ。連れ出してもらおうなんて思っているから。だから抜け出せないのだ。
恋愛の話だが、恋愛に限った話ではない。
自分で決断するのは怖いから「誰かに決めてもらいたい」のだ。
ギリシア神話の神々は奔放で自由だ。人間を見守りながら共存していく。一神教の神様のように「正しい方向」へ導いてはくれない。
だから人は、自分で決めることができるし、自分で決めなくちゃいけない。
「自分の足で歩いていこう」と決意する舞台として、パルテノン神殿は映える。