BookLetでは、ビジネス書や小説の1000文字程度のオリジナルレビューを掲載しています。

無駄な仕事が全部消える超効率ハック

無駄な仕事が全部消える超効率ハック

こちらで購入可能

要約

「努力をすること」から「努力をしないですむ工夫」に目を向け生産性を上げるための、57個の「超効率ハック」を紹介する。

  • 受動的な時間→主体的な時間
    一つ一つの仕事に主体的に関わると、コントロール感が得られ好循環が生じる。他人と比べるのではなく「自分として何を成し遂げたのか」が大切。
  • 他人都合→自分都合
    相手の都合に合わせると生産性は下がる。先手を打って「自分都合」でスケジュールを決めてしまう。その際に相手と「Win-Win」になるよう気を配る。
  • いい人→断るスキル
    断るスキルは重要。
    ①誠実に話を聞き
    ②事情を説明し
    ③代替案を出し
    ④条件交渉をする
    それでも、頼んでくるなら便利屋と考えられているかもしれない。強く断ろう。
  • 悩む→決める
    悩んでいる間は何も進まない。「判断の正しさ」より「判断の早さ」が重要。情報が集まらなくても判断する期限を決めておく。「判断した後にどう動くのか」が大切。
  • 時間の量→時間配分
    「緊急度は低いが重要度が高いタスク」に、意識的に時間を配分する。先にスケジュールを「天引き」し、隙間時間も活用する。
  • 進め方→背景
    いきなり作業に入るのではなく、まず背景を確認する。その仕事が必要な「理由」、何を達成したいのかという「意図」、最終的に誰にどのように訴えるのか、といった点を確認する。
  • 思いつき→計画
    いきなり作業に入らず、段取り全体の計画を立てる。
    ①ゴールまでの作業を分解し洗い出す
    ②作業をスケジュール順に並べる
    ③作業ごとに成果物のレベルを決める
    ④作業ごとに役割分担を決める
  • 処理スピード→やらないこと
    どれだけ処理スピードを上げても、そもそも必要ない仕事であれば意味はない。「目的に対して役に立つのか?」「別の手段で楽にできないか?」を考える。
  • 自前主義→役割分担
    自分ですべてやるより分担したほうが良いこともある。適性があれば作業効率が上がるし、同時並列することで全体の速度が上がるし、自分にない視点をを得られるかもしれない。
  • 受け身→先読み
    「その場のこと」や「自分のこと」だけを考えるのではなく、仕事の全体像を理解した上で、自分は何をすべきなのかを理解することが大切。
  • 自分の作業→後工程の作業
    後工程も意識し、スケジュールや必要十分レベルを把握しておく。コミュニケーション頻度を上げることが重要。
  • 情報を待つ→仮置きで動く
    全て情報を集めてから動くよりも、仮説を置いて軌道修正しながら進める方が速い。
  • 最終形→仕掛かり状態
    いきなり完成形を目指すのではなく、着手前や途中で都度確認をして、イメージを共有しながら進める。
  • なる早→締切り設定
    期限が明確でない仕事でも、自分なりの締切りを設定し共有していく。「なる早」だとお互いに認識がズレいている可能性もある。
  • 伝える側→受け取る側
    受取る立場のことを考えて発信する。「相手にとって分かりやすい言葉」を使い「相手にとって分かりやすい説明の順番」を考え、相手の頭を整理しながら伝えていく。
  • 描写する→要点を話す
    すべてを話すのではなく、相手が効きたいポイントに絞る。短くても「結論と根拠」はセットにすると納得感が出る。
  • 結論を話す→前提を揃える
    話しの前提がずれていると噛み合わない。
    ①現状認識
    ②視点
    ③話のレベル感
    ④時間軸
    を合わせてから議論する。
  • 説明する→質問する
    コミュニケーションの主導権を握っているのは聞く側。上手な「質問」で相手の情報や考え方を引き出す。また相手に「自分で決めた」と思わせることで自発性を引き出す。
  • 形容詞→数字
    「もう少し待って」や「簡単な資料」など、形容詞で示すと不明確になる。「あと1日待って」や「A4で2枚程度の資料」など具体的に示すべき。
    特に「期限」「所要時間」「進捗」「分量」などは明確に数字にしていく必要がある。
  • 正確さ→たとえ
    どれだけ正確に伝えても、直感的にイメージできないと伝わらない。「規模感」「構造」「性質」「感覚」などは、相手にとって身近なものに置き換える「たとえ」を使うと伝わりやすい。
  • 理解を促す→判断を促す
    ビジネス資料の目的は「相手の理解を促す」だけではなく「判断と行動を促す」ことにもある。どのような判断に活かすための資料なのかを確認する必要がある。
  • 網羅する→必要最低限
    網羅的な情報収集でなく「判断に役立つ最小限の情報」を収集する。「目的」を明確にし「仮説」を立てることで「判断に役立つ情報」を見極めることができる。
  • 事実→示唆
    資料では事実を羅列するだけでなく「判断に役立つ示唆」があることが必要。「規模感」「流れ」「全体と部分の構図」「全体と部分の因果関係」に着目すると良い。
  • 文章で書く→図を描く
    「分類」「比較」「構造」「段取り」などを示す際は、文章だけで説明するより、図表やグラフを使うと分かりやすくなる。
  • 充実させる→シンプルにする
    見た目を良くするために装飾を増やしたり、詳細に伝えようとして文字数を増やすとかえって伝わりにくくなる。
    論理構成とストーリー構成を明確にしたうえで、文章や装飾は極力そぎ落とす。
  • 発言→慣れ
    会議で発言するには慣れていくのが効果的。
    ①相づち
    ②賛成意見
    ③確認
    ④質問
    ⑤提案
    というステップがよい。
  • 会議で説明→事前共有
    会議の場で資料を配っても議論は深まらない。事前に議題を共有し資料を配ることで、各メンバーが「自分の考え」を持ち寄ることができる。
  • とりあえず→時間意識
    「とりあえず」で会議を始めず、参加人数を絞り、議題ごとに時間配分を決めておくことが大切。
  • 意見→論点
    会議で議論がかみ合わせるためには、発言の前に「前提」を揃える。結論が出てから次の論点に移ることを徹底し脱線を避ける。その時点で決めることができない論点に拘泥せず「決めるために何が必要か」の議論に移る。
  • ノート→ホワイトボード
    会議で参加者各自がノートをとっていても共有できない。ホワイトボードなどを使うことで
    ①議論に集中しやすい
    ②認識のずれを防げる
    ③発想の刺激になる
    ④結論に持ち込やすい
    ⑤議論の流れを振り返りやすい
    といったメリットを享受できる。
  • 場の空気→決め方
    会議で「決める」ためには、あらかじめ「決め方を決めておく」ことが大切。
    「多数決」「判断基準による決定」「リーダーの決断」というのが主な決め方のパターン。最初は多数決で現場の意見を理解した上で、最終的にはリーダーが決断する形が良い。
  • 結論→行動
    会議で大切なのはその後の行動。「次の行動」「役割分担」「期限」を決める。
  • インプット→アウトプット
    「アウトプットに直結するインプット」の方が効率よく学べる。得た知識を自分の言葉に置き換えてアウトプットするのが良い。
  • 観察→洞察
    「観察」するだけでは自分の認識のフィルターを意識できない。観察力を高めた上で、「なぜ?」、「どうなっている?」と考えることで、洞察力が育つ。
  • 情報量→思考力
    情報コストが下がり「ただ知っている」だけでは価値がない。目に見えない思考力が差別化要因になる。
    ①因果関係から考えるロジカルシンキング
    ②前提を疑うクリティカルシンキング
    ③抽象化してとらえ直す概念化思考
    ④別の分野で類推するアナロジー思考
    などを身につけていく。
  • 知識→経験
    知識は簡単に身に付くが経験は貴重。即死するリスクだけは避けて、とにかく打席に立つ。
  • 答え→答えの出し方
    「答え」自体はその時限りのものだが「答えの出し方」は財産になる。
    「視野の広さ」「視座の高さ」「視点の角度」「時間軸」「思考プロセス」などを磨いていく。
  • 現象→法則
    目に見える「現象」より、その背景にある再現性の高い「法則」をストックしていくことで、仮説の精度が上がっていく。
  • 数字→目的
    数字を追いかけることも大切だが、それだけでは仕事の意義を見失ってしまう。背景にある目的を意識することが大切。また、目的が明確であれば、別の選択肢も見えてくる。
  • 量を増やす→質を上げる
    仕事の上位観念を見極める。「個別→全体」「短期→長期」「表層的→根源的」なレベルに視点をあげていくことで、指針が明確になり「頑張りどころ」が絞ることができる。
  • 答えを探す→問いを探す
    「答え」を探すのに行き詰ったときは「問い」を探すと良い。例えば「売上を上げる方法」は分からなくても、「なぜ売り上げが下がったのか?」「なぜ客単価が下がったのか?」など問いを重ねることで問題解決の糸口をつかめる。
  • 正解にこだわる→仮説で走る
    世の中に正解など存在しない。未来に向けた可能性があるだけ。
    正解を求めるのではなく、物事を見る視点を増やし、より多くの精度の高い仮説を生み出していく。
  • 思いつき→フレームワーク
    適切なフレームワークを使うことは、思考を助けてくれる。扱うべき範囲を決め、考えるとっかかりを掴み、漏れやだブリを防ぐことができる。
  • 不安になる→今の行動
    不安を抱えていると前に進めない。
    まずは1週間だけ覚悟を決め、未来ではなく「今の行動」に集中する。これを繰り返すことで、不安は消えていく。
  • 結論を考える→前提を洗い出す
    新しいアイデアを考えるときは、まず「当たり前」を洗い出し、ひっくり返してみる。
  • 具体的に考える→概念的に考える
    具体的な物事を抽象的な概念で捉え直すと、新しい視点が見えてくる。
    具体と抽象を行き来する思考がアイデアを生む。
  • 論理で考える→アナロジーで考える
    順番に論理を積み上げていくだけでなく、経験から得た学びを抽象化して特性を一般化し、異なる分野に応用していく。
  • 理性で考える→感情に着目する
    理性による合理的な思考から斬新なアイデアは生まれにくい。感情に着目し「遊び心・冒険心・知的好奇心」にフォーカスすると、感情を揺さぶるアイデアが出てくる。
  • 現状から考える→未来から逆算する

現状の逐次改善では大きな変化を生むことはできない。理想的な未来を描き、そこから逆算することで、新たな着想を得ることができる。

感想

さまざまな「ハック」が紹介されているが、根底にあるのは「頑張る」ことから「頑張り方を考える」ことへのシフトだ。

要は「やるべきことの優先順位を明確にしましょう」という話で、「忙しいからノコギリの刃を研いでいる時間なんてない」という非効率な木こりの寓話を思い出す。

ただ、見えている目的にこだわりすぎるのも近視眼的だ。
効率の悪い木こりは駆逐されてしまうかもしれない。逆にその木こりにとっては「切れにくいノコギリを使い続け鍛え上げられた肉体」こそが価値を持つ可能性だってある。

「目的に向かって一直線」ではない生き方をしたい。





こちらで購入可能